仏陀の目 夏井いつき
炊飯ジャーのしゃべる日本語目借時
おいどんは山です山は笑います
周恩来みたいな春祭の神主
桜さく百済はるけき波がしら
沈丁花の香は何の色水の色
春雨へ漕げばとろりと揚子江
開拓碑みあげて葦の角に風
銭百文たる記述あり夜の蛙
ギヤマンの色に春星うるおえり
吾は春の鵙であったという事実
痒くて痒くていっそ杉菜になってやる
孫太郎虫おまえ泳げたのか
酸味ある梅雨の夕日でありました
光景のひとつとなりて羽抜鶏
蛍合戦首吊あった村にかな
仏陀の目めきたる雨の蛍かな
戦果とは野に潰したる蛇の数
続かない話酒酔星(さけよいぼし)ひかる
夜光虫たぷたぷ船腹の臭う
女王の名つけしヨットの駆ける駆ける
ユッカ咲く友愛キリスト教孤児院
結果論ばかりパイナップル甘し
耆那(ジャイナ)教教典に紙魚つぶれおる
雨安居のインドに旅の三日かな
ダリアるいるい雨ざんざんと昼深し
趣味特になし籐椅子にある凹み
マルクスは拒否して目高など飼って
労組代表三名を待つ麦湯かな
夜光虫ジャーナリストの死の報道
夜の百合をこんなに責めていてよいか
●
2009-05-10
03夏井いつき 仏陀の目 テキスト
Posted by wh at 0:47
Labels: 10句作品, いつき組プロデュース
登録:
コメントの投稿 (Atom)
0 comments:
コメントを投稿