2009-05-10

03夏井いつき 仏陀の目 テキスト 

 仏陀の目  夏井いつき

炊飯ジャーのしゃべる日本語目借時
おいどんは山です山は笑います
周恩来みたいな春祭の神主
桜さく百済はるけき波がしら
沈丁花の香は何の色水の色
春雨へ漕げばとろりと揚子江
開拓碑みあげて葦の角に風
銭百文たる記述あり夜の蛙
ギヤマンの色に春星うるおえり
吾は春の鵙であったという事実
痒くて痒くていっそ杉菜になってやる
孫太郎虫おまえ泳げたのか
酸味ある梅雨の夕日でありました
光景のひとつとなりて羽抜鶏
蛍合戦首吊あった村にかな
仏陀の目めきたる雨の蛍かな
戦果とは野に潰したる蛇の数
続かない話酒酔星(さけよいぼし)ひかる
夜光虫たぷたぷ船腹の臭う
女王の名つけしヨットの駆ける駆ける
ユッカ咲く友愛キリスト教孤児院
結果論ばかりパイナップル甘し
耆那(ジャイナ)教教典に紙魚つぶれおる
雨安居のインドに旅の三日かな
ダリアるいるい雨ざんざんと昼深し
趣味特になし籐椅子にある凹み
マルクスは拒否して目高など飼って
労組代表三名を待つ麦湯かな
夜光虫ジャーナリストの死の報道
夜の百合をこんなに責めていてよいか

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