俳人としての私 外山一機
甘草の芽のとびとびのひとならび(高野素十)
雁(がん)瘡(そう)の乳母(めのと)
終日(ひとひ)
野火(のび)と親(な)らひ
新宿ははるかなる墓碑鳥渡る(福永耕二)
信(しん)じゆくは
遙(はる)かなる穂(ほ)
ひとり渡(わた)る
千年の留守に瀑布を掛けておく(夏石番矢)
千(せん)年(ねん)乗(の)る
巣(す)に
伯(はく)父(ふ)を
架(か)けておく
方丈の大庇より春の蝶(高野素十)
帽章(ぼうしょう)の苜蓿(おほひ)
砂(さ)嘴(し)より
春(はる)の
地妖(ちよう)
虚子の忌の大浴場に泳ぐなり(辻桃子)
鋸(きょ)歯(し)の
姫(き)の
大(だい)欲(よく)情(じょう)に
游(およ)ぐなり
鶏頭の十四五本もありぬべし(正岡子規)
閨竇(けいとう)の
蹂(じゅう)し
後(ご)
翻(ほん)もありぬべし
白牡丹といふといへども紅ほのか(高浜虚子)
伯(はく)母(ぼ)譚(たん)と
異(い)父(ふ)問(と)い
反(へ)吐(ど)も交(か)う
火(ほ)の華(か)
今朝咲きしくちなしの又白きこと(星野立子)
袈(け)裟(さ)裂(さ)きし
愚(ぐ)
父(ち)無(な)しの
股(また)白(しろ)き児(こ)と
原爆地子がかげろふに消えゆけり(石原八束)
験(げん)は腐(く)ち
児(こ)が
陰郎(かげろう)に
消(き)えゆけり
春昼の指とどまれば琴も止む(野沢節子)
純(じゅん)忠(ちゅう)の夜(ゆ)
人(ひと)と糞(ま)れば
子(こ)ども
病(や)む
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2009-09-27
10句作品テキスト 外山一機 俳人としての私
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