句集好き 6『ウルトラ』高山れおな
高山れおな たかやま・れおな
1968年生まれ。1993年より「豈」に参加。2008年より「豈weekly」発行。
『ウルトラ』は1998年、沖積舎刊の第一句集。313句収録。
ビニールケース、表紙に二種のカラーペーパー、小口黄インク塗りと、非常に凝った装丁は日下潤一による。
"ウルトラ"はもとより。"超"とか"過激な"を意味する接頭辞・形容詞だが、集名とするにあたって特に念頭にあったのは、フランス王政復古期の極右反動の一派"超王党派(ウルトラ)"。これは大革命以前へ時間を逆戻りさせようと目論見、かえって七月革命を招いた貴族・聖職者たちで、天晴れな現実無視と時代錯誤の精神の持ち主だった。その名を借りて自ら馬のはなむけとした。(「後記」より)
七生の母へ馳走の火事明り
日の春をさすがいづこも野は厠
まぼろしの大河を前の御慶かな
雛壇の上より見れば戦かな
青き踏みゐる目黒区の主なホモ
ふらここや飛んで陽に入る核家族
総金歯の美少女のごとき春夕焼
海底(うなぞこ)の上下左右や五月場所
目の玉が宝石となる大暑かな
駅ごとに妻佇つてゐる旱かな
駅前の蚯蚓鳴くこと市史にあり
菊の香や眉間よりビーム出さうなり
大関がびつしり潜む秋の海
神は旅にわれは鰈をうらがへす
一号機輪廻なかばに蒲団干す
墨東に絵の餅を焼く絵の火かな
陽の裏の光いづこへ浮寝鳥
犀川にまぼろしの犀雪を来よ
日の春をさすがいづこも野は厠
まぼろしの大河を前の御慶かな
雛壇の上より見れば戦かな
青き踏みゐる目黒区の主なホモ
ふらここや飛んで陽に入る核家族
総金歯の美少女のごとき春夕焼
海底(うなぞこ)の上下左右や五月場所
目の玉が宝石となる大暑かな
駅ごとに妻佇つてゐる旱かな
駅前の蚯蚓鳴くこと市史にあり
菊の香や眉間よりビーム出さうなり
大関がびつしり潜む秋の海
神は旅にわれは鰈をうらがへす
一号機輪廻なかばに蒲団干す
墨東に絵の餅を焼く絵の火かな
陽の裏の光いづこへ浮寝鳥
犀川にまぼろしの犀雪を来よ
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