2011-01-02

2011新春特別作品テキスト版

2011新春特別作品テキスト版


感謝 池田澄子 

年越し蕎麦の蕎麦湯暗渠に合流す
健啖に感謝し読み初めは『眞神』
寒がりの鷓鴣来ませ灯の畳の上
手毬歌Yahooで歌詞を確かめし
見聞きし分かりそして忘れて結び昆布


窓広く 岸本尚毅

昨日ほどあたたかでなし初詣
我を見て笑ふ我あり初鏡
遠目にも光るは硝子初景色
初御空とは良き言葉窓広く
寒風に鳩ひらひらと初御空


片肺 清水かおり

たましいを焚いて春の背肉の屈み
立木から立木へ渡る人称の Ω
片肺あずけられ遠くの水の繁り
荷をほどくかさりと蛇の衣が動く
日輪と言うたびひそやかな火傷


素うどん 山田耕司

元旦を素うどんすゝられては縦に
酢蛸かと聞けばうなづく四方の春
初夢のつひにここまで来て手ぶら
味付海苔ずらり小袋除夜の鐘
門松やどの服からも顔が出て


新年 杉山久子

白皿に金のふちどり大旦
七草をひたして水をかがやかす
気負ひたる言葉も日記始かな
海鼠腸はきらひごちやごちやいふ人も
水鳥のまぶたあかりに眠りたし
世紀末過ぎてしまへば炬燵猫
綿虫の一生にまとふ綿の嵩

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