2011-02-27

山口優夢 リツイート希望 100句テクスト 

奉納 「100題100句2011」
山口優夢 リツイート希望 100句 


001:初
初蝶の踊り場を出てあかるくなる

002:幸
内幸町を風船の通り過ぐ

003:細
かげろふとなりぬ毛細血管まで

004:まさか 
アスパラガスまさか人間だつたとは

005:姿
生きてゐるあしなが蜂の姿かな

006:困
くるくると蝌蚪は困つてばかりなり

007:耕
耕しといふ太陽を負ふかたち

008:下手
春灯はつけつ放しで口下手で

009:寒
てふてふのコンクリートを寒がりぬ

010:駆
遠足やひとり駆ければみな駆ける

011:ゲーム 
人生ゲームでは子だくさん春深し

012:堅
腹筋の堅くしまりて春の雪

013:故
チューリップ人形も故人になりぬ

014:残
ぶらんこに子の影残る日暮かな

015:とりあえず 
とりあへず卒業式やなみだなみだ

016:絹
からだぢゆう絹に触れゐるおぼろかな

017:失
田楽を串だけにして失笑す

018:準備
ひとりつ子ひとりで潮干狩の準備

019:層
その崖に地層の見ゆる揚雲雀

020:幻
石鹸玉満ちて幻想即興曲

021:洗
洗車場春の怒濤のごとくなり

022:でたらめ
でたらめに歩けば涅槃図の中か

023:蜂
蜂と蝶触れることなし空冷ゆる

024:謝
桜餅謝りながら食ひ始む

025:ミステリー 
ミステリー春日の中に終りけり

026:震
石鹸玉の中の吐息の震へをり

027:水
水温む部活のあとの荷の多き

028:説
説教のつづく春雨雪になる

029:公式
お経のごと公式唱へ大試験

030:遅
東京は西へ伸びたる遅日かな

031:電
つばくろは電波とすれちがふだらう

032:町
町名村名なき陸(くが)はなし犬ふぐり

033:奇跡
石鹸玉奇跡のやうに連なりぬ

034:掃
掃除機は老犬に似て木の芽時

035:罪
紅梅や罪作りとは褒め言葉

036:暑
面接官のうしろに時計春暑し

037:ポーズ 
変身のポーズどや顔風光る

038:抱
抱き合ふは霊長類のみ春の闇

039:庭
陽炎や何でも埋めし庭の土

040:伝
鳥雲に伝記があれば偉人なり

041:さっぱり
白梅や鏡の中はさつぱりと

042:至
縁側の日射しゆつくり雛に至る

043:寿
てのひらに長寿の相や紫木蓮

044:護
春の丘とは人類の保護区域

045:幼稚
幼稚園からの脱走桃の花

046:奏
春愁やチェロうしろから抱き奏で

047:態
亀鳴くや態度は座り方に出て

048:束
のどかなり亀の子束子鳴かせては

049:方法
蝶を抱く方法として展翅かな

050:酒
海市には海市の酒のあるといふ

051:漕
性欲が濃くてぶらんこ膝で漕ぐ

052:芯
春三日月パスタに芯のあえかなる

053:なう
【リツイート希望】亀が鳴いたなう

054:丼
牛丼屋の客みな一人つちふれり

055:虚
夜空より青空虚ろ梨の花

056:摘
摘み草や水の音から離れずに

057:ライバル
ライバルといふ友もありきんぽうげ

058:帆
春の夢帆のはためいて無音なり

059:騒
騒がしきいろやかたちや道明寺

060:直
直進の果ては菜の花ばかりなる

061:有無
蝌蚪一粒有無を言はさず足生えて

062:墓
花辛夷墓域ひともすこともなし

063:丈
野焼きして背丈以上のもの燃ゆる

064:おやつ 
一人暮らしのおやつの時間日の永き

065:羽
水温む天使寝るとき羽根が邪魔

066:豚
豚足を噛み千切りかみちぎる春宵

067:励
励ませば焼きはまぐりが口を開く

068:コットン
春月はコットンよりもやはらかき

069:箸
夜桜や箸置きになる箸袋

070:介
介錯に上手下手ありかざぐるま

071:謡
歌謡曲にをとことをんな暮れなづむ

072:汚
料峭やほのほといふは汚れざる

073:自然
流氷や大自然にも暦あり

074:刃
カッターの刃先折るなり梅真白

075:朱
きさらぎや全き朱色なる辣油

076:ツリー 
クリスマスツリーのやうながうなかな

077:狂
雨粒の風に狂へる雛祭

078:卵
春の夜の卵を割れば指濡れて

079:雑
西行忌雑木林に日の暮るる

080:結婚
結婚を前提に犬ふぐり摘む

081:配
かざぐるま風に勾配ありにけり

082:万
万年筆にインク吸はせて藤の昼

083:溝
側溝に音かすかなり春の星

084:総
房総は光にむせてスイートピー

085:フルーツ
フルーツを水菓子と呼ぶ宵の春

086:貴
さへづりのだんだんやんで貴腐ワイン

087:閉
ドアも窓も閉めて始まる大試験

088:湧
青春や川岸に湧くいかのぼり

089:成
成功も失敗もなき石鹸玉

090:そもそも
鳥雲に入るそもそもが夢のこと

091:債
すみれ咲いて赤字国債どんどん出す

092:念
念力でつくるおほきな石鹸玉

093:迫
雛の日のぼんぼりに雪迫りつつ

094:裂
尖塔に春夕焼の裂けにけり

095:遠慮
雛あられ少しは遠慮してほしい

096:取
鳥取が夢から覚めたのどかさで

097:毎
春愁の日毎夜毎に新しき

098:味
しらうをにほの昏き味ありにけり

099:惑
惑星は太陽系の外も雪

100:完
吹き流され吹き流され蝶の完成す

2 comments:

rakuda さんのコメント...

お気楽な感想です。

021:洗 洗車場春の怒濤のごとくなり

 あのわしゃわしゃが賑やかで、なるほど「春」です。

022:でたらめ でたらめに歩けば涅槃図の中か

 うん、方違えを繰り返すと怪しいところに行くらしいです。
 帰って来られる確信がないとヤバいかも。
 
029:公式 お経のごと公式唱へ大試験

 後になれば笑い事なんだけど、当事者は真剣なんですよね。

037:ポーズ 変身のポーズどや顔風光る

 あはは「どや顔」。子供が仮面ライダーごっことか。

039:庭 陽炎や何でも埋めし庭の土

 犬の話にしておかないと、ゆゆしきことになりまする。

042:至 縁側の日射しゆつくり雛に至る

 ああ、ようやく春めいてきた、という感じがいい。

050:酒 海市には海市の酒のあるといふ

 めずらし物好きの呑んべが探しにいっちゃったりして。

053:なう 【リツイート希望】亀が鳴いたなう

 花まる特選、これ最高! そりゃもう喜んでRT。

057:ライバル ライバルといふ友もありきんぽうげ

 これがまた得難い関係なんだな。きんぽうげが渋い。付き合いが長くなるということでしょう。

061:有無 蝌蚪一粒有無を言はさず足生えて

 そりゃそうだ、とはいえ、中には「イヤだー」とゴネる奴もいるかもしれん、などふと思う。

065:羽 水温む天使寝るとき羽根が邪魔

 天使は飛びながら寝ます。(嘘です)

067:励 励ませば焼きはまぐりが口を開く

 焼蛤に向かって激励の言葉をかけている、想像すると笑える。

092:念 念力でつくるおほきな石鹸玉
 
 なるほど、念力か!

095:遠慮 雛あられ少しは遠慮してほしい

 む、何が?雛あられが? というヘンな読みをしてしまったらもう作者の思うつぼ。

096:取 鳥取が夢から覚めたのどかさで

 これまた同様に。夢を見ていたのは鳥取か? でもそれもありと思います。

100:完 吹き流され吹き流され蝶の完成す

 春風を浴びるごとに蝶が完成していくなんて、すてき。
 お疲れさまでした。
 ありがとうございました。

rakuda さんのコメント...

お気楽な感想です。

001:初 東一局初手から亀を鳴かせけり

 なんか、亀っていう牌がある気がしてくるんですが^^;

003:細 チューリップ委細を省くこと大事

 チューリップぐらい大ざっぱでいいことも多いと思う。

004:まさか まさかこの局面で海胆すするとは

 どんな局面でしょうね~、興味津々。
 ふたりだけっぽい句ですが、大勢いる場での空気読めないくん、でも面白い。
 
006:困 神野紗希に寄す 春眠にナウマン象が来て困る

 もっと寝ていたいのにパオーンとか言われては。

014:残 真昼ふとパンジーほどの残尿感

 微妙に分からないのに納得してしまう不思議。

019:層 行く春や層なす菓子をたひらげて

 パイやらミルフィーユは大好き!
 この手のお菓子は確かに晩春の雰囲気かもしれない。

026:震 しやぼんだま毀れるまでを震へつつ

 そういえば震えていると思ったことなかったなぁ。

027:水 春の暮おなかがすいて水を飲む

 よけいひもじい。晩ご飯早くして。

028:説 めばる喰わせよ説明はそこそこに

 あはは、旅館なんかでは女将がやたら長々と。

038:抱 恋終えし猫を抱けば日の匂ひ

 ようやく収まったんですね。あの声との落差がよく出ていてのどか。

041:さっぱり 書を閉ぢて以降さつぱり囀らず

 待ってるとダメなんですよ。

047:態 アネモネの絵にも描けない媚態かな

 うはー、アネモネってそうかな?……そうかも。

048:束 吊るし売る亀の子束子あたたかし
 
 これはまちがいない。店の外には錆びた看板なんぞ掛かっててほしい。

058:帆 帆をくれてやりたし今朝のあをむしに

 蝶か蛾になる前に、ハンググライダーみたく空を飛ばせてみたい。

068:コットン コットン五〇パーセント決算大特価

 大特価は大好き。この際50%で手を打ちます。

083:溝 レコードの溝の終りは春の雨

 なるほど、しっとり。自動で針が戻らないタイプですね。

086:貴 きさらぎや高貴な人が象のうへ

 きらびやか。

088:湧 湧き出でて夢の中まで蝌蚪の紐

 それはちょっと、うざい^^;

089:成 学成らず胸にぽつかり夏みかん

 これはこれでだいじな夏みかんだと思う。

097:毎 毎日が花鳥諷詠ときどき屁

 あはは、屁も風流ってことで。

100:完 人それぞれ春はいろいろこれにて完

 はい、お疲れさまでした。
 
 お三方の300句を読んで、気持ちがたっぷり春になりました。
 俳句っていいなぁと改めて思いました。
 どうもありがとうございました。