【俳壇賞落選三〇句】
秋の王 御中虫
私は王だ。臣下はいない。澄み切った秋の王だ。
歩いてかね?歩いて四月が来るのかね?
考え方の方向変えてみやふ凪
地球のちょうど反対側で花を踏む
鉄工場に立てかけられた虹の鋳型
振られても鍋の火力を弱めるな
そして翌朝海のシニフィエは光つてゐた
「一人になるよ」と簡潔に言った流れ星
真空や空虚が好きでラッパ呑み
いまこゝに無い何かが無い叫ぶ!言葉が!
磨滅した言い回しにガーベラお似合い
別れたら軽くなった軽いまゝ泣いた
あたしは単なる代わりでせうか、紙幣のやうに?
暴風雨瞬時にやりとりされる嘘
その単純な思考を仮に馬鹿と呼ぼう
天の川たんなるモノの寄せ集め
だが跳ぶ前に見ねばならない死の脅威を
感情はいつもスコール&スコール
もちろん二番手でもいいなんて秋桜
必然的につきまとう記号(もの)納豆美味
そつくりだハイパー・インフレーションとわたし
冬座敷物は自分で歩けない
しかしながらまだ好きなのです素っ裸で
コットン、お茶、小麦、それで世界は済むのに。
私の価値はどのようにして表現されるか?鶏頭くん。
あるがまゝの姿で水仙うそくさい
誇らしげな言葉でレースの服を編むのよ
すぐ錆びついてしまふ雲だよ窓磨く
つまりその日わたしが秋を呼んだのです
ここに神秘がある金平糖もある
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2011-12-04
【俳壇賞 落選三〇句】秋の王 御中虫 テキスト
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1 comments:
作品は立派。でも、芝不器男賞以外、この作風を許容してくれる賞はないだろう。これ以上、賞に応募するのは無駄だと思う。もう専門俳人として活躍するべき。第2句集に期待。
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