2012落選展
08 ハードエッジ あかさたな
あかさたなはまやらわみなあたたかし
早う雛飾れといふにうちはうち
遠くある電車の車庫や揚雲雀
足し算はもらつてばかりあたたかし
家族の春特急の窓に鼻押し当て
日月の巡りて月日松の芯
透きとほるままの一生白魚は
大柄な向日葵の種蒔きにけり
父の巣箱と母の巣箱とわが巣箱
若草や半ば朽ちたる杭の先
くらやみのうへのくらやみ雛納め
春かなし下駄箱の名札みな剥がされ
花筵地べたの如く冷えてをる
社員食堂の列が進むよ衣更
荒梅雨やよもやこの世に割り算など
夏休み第一日目日の出前
砂子楽し母なる泉に噴き上げられ
実も数多茄子の花の花盛り
王様のやうなあゆみを毛虫かな
抜きん出て傘立てにあり捕虫網
空蝉を水に流してやりにけり
昼寝子に髭なく猫に笑窪なく
長生きの屑と云はれし金魚かな
冷奴冷酒歳時記編集者
忘らるることも涼しと思ひけり
ソーダ水深きところを吸はれけり
包丁も西瓜を切つて喜べり
夕立にきやあきやあ言つて楽しけれ
悪い子はバナナの如く食つてやる
雷を落とされて街まつ暗に
晩夏とは挽歌花火がどつかんと
永遠の四十日の夏休み
運動会お昼休みとなりにけり
少しだけ早い準急秋桜
白粉花が咲いて運転手は君だ
胡麻の香の金平牛蒡秋の暮
おまけ付きグリコのころの栗ご飯
星祭とはまだ書けずおほしさま
鳴く虫の緑なること訝しむ
長き夜の好きこそものの上手なれ
銀杏落葉善は急げと言ふ如く
ぷすといふ冷ややかな音コンパスの
マスクして枯れゆくものに抗しけり
山茶花の花びらの上を土足にて
手をつなぎたれば我より冷たき手
水鳥に蹼湯湯婆に肋
湯ざめして手足の固くなりにけり
実家てふ不思議なところ布団干す
のし餅ののされぐあひを押してみる
双六を打ち捨て雪合戦に出づ
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2012-11-04
2012落選展 08 ハードエッジ あかさたな テキスト版
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