週刊俳句2012年アンソロジー 90人95句
初空や水とはうしなはれやすき 生駒大祐 第245号
外套を着て雨音に気づきけり 村田 篠 第245号
初空にビル白々とご町内 上田信治 第245号
胸ふかく呑み込むたばこ初昔 西原天気 第245号
手毬抱き観音堂へ消えにけり 大野朱香 第246号
初空や襷もろとも走り出す 広渡敬雄 第246号
龍の腹うねりて太し鱗鳴る 小澤實 第246号
初暦熊野三山指で越え 谷口智行 第247号
風花や空には腕二本のみ 小林千史 第247号
冬のある国に生まれて日向ぼこ 雪我狂流 第248号
戻る木のなく綿虫は音のやう 依光陽子 第248号
蝌蚪は日の当たらぬ方へ群るるなり 矢口晃 第248号
ぽーんと水鳥と入れ替はるからだ 山下つばさ 第248号
ペプシ! と音してあふれだす冬の星 福田若之 第248号
鬣の上から咬まれ息白し 望月 周 第249号
ゴミ屋敷雪の積みたり灯りつゝ 林 雅樹 第249号
風花や遊具は海の真向かひに 松本てふこ 第249号
ポップコーン炬燵に積もらせてひとり 野口る理 第249号
待春の大階段となりにけり 齋藤朝比古 第250号
やはらかく蹄のひらく冬の草 津川絵里子 第250号
大和煮のくじらひかるよ水呑むよ 岡村知昭 第250号
あをぞらはおほきなゑがほ雪達磨 南十二国 第250号
いっぺんに言葉つかって花の洞 谷口慎也 第251号
猫の恋トイレを示す非常灯 中山奈々 第251号
如月の川の光よ頑張れない 小林鮎美 第252号
どんな帽子この子に春を呼びたるは 依光正樹 第254号
木を守る人に木の添ふ彼岸かな 下坂速穂 第254号
麦蒔の吾を夕日の中に描け 中谷みのり 第254号
秋の夜の子の歯を磨く手が替はり 神山朝衣 第254号
早春の笹をさはさはさせたる手 導月亜希 第254号
甘き実の満ちたる熊の眠りかな 岬 光世 第254号
早春や耳に手を当てをんなのこ みわ・さかい 第254号
手袋手袋帽子より手袋 岸由美子 第254号
春の夢かぞえておればダムに出る 松井康子 第255号
啓蟄やどんと構える祖父の飛車 横山尚弘 第255号
春キャベツ抱へて帰る天気雨 涼野海音 第256号
春雷や耕衣のバケツ消え失せし 津髙里永子 第258号
紅梅が鼻の穴へと入りさう 西村麒麟 第259号
日永かな動いてロボットだとわかる 宮崎斗士 第260号
証明写真機足飛び出してうららかに 西丘伊吹 第261号
人工のひかりのまちや都鳥 衣衣 第261号
林檎酒ふふみて耳がよく通る 楢 第261号
月明かりタクシーの背に鳥の夢 日比藍子 第261号
咀嚼する舌のひらひら春の雪 山田真砂年 第262号
うすらひやウランの志す青天 竹岡一郎 第264号
春深しみどりの池に木は倒れ 佐藤文香 第265号
夏服の胸ポケットにペン斜め 沼田真知栖 第266号
オルガンを弾くアルバイト若楓 佐川盟子 第267号
くちびるにスパムのあぶら花のころ 藤田哲史 第267号
くるぶしは心細くて梅雨に入る 北川あい沙 第268号
はみ出せる自愛ぶよぶよアマリリス 神野紗希 第269号
夏の火事ひときは人の匂ふかな 平山雄一 270号
西暦で生年を言ふアロハシャツ 栗山心 第271号
鶏頭の揺れて大きな家が建つ 生駒大祐 第272号
台風のゆくへ耳掻みあたらぬ 小池康生 第274号
りびんぐはみんぐはなうたとまらぬあをいこいぬ 御中虫 第275号
咽がからから紅薔薇のアーチかな 谷口摩耶 第276号
僕たちの大きな蜘蛛の巣食う星 福田若之 第276号
テレビつけ遺影と麦茶ひよいと移す 前北かおる 第277号
夏山に巨大兵器の気配かな 村越 敦 第277号
抽斗を引くやさささと朝の蜘蛛 押野 裕 第278号
八月のインド上空にて眠る 松本てふこ 第278号
牡丹やあなたはいつもややこしい 石原 明 第279号
馬の夜にこゑある限り桃にこゑ るふらんくん 第280号
梶芽衣子野良なる奈良の恋牝鹿 井口吾郎 第280号
流れ星大きく拭きし作業台 柏柳明子 第281号
一列に進むにはとり青バナナ 小田涼子 第281号
秋すでにマンゴーの芯青くさし 対中いずみ 第282号
砲身の残暑の熱を持ちにけり 杉原祐之 第282号
秋草を狩れるだけ狩る子供かな 酒井俊祐 第282号
葛咲くや雨はとぐろをまく匂ひ 山口昭男 第283号
シーソーのかたへに秋の来てゐたり 金子 敦 第283号
少ししか開かぬ窓や法師蝉 後閑達雄 第283号
蜻蛉の脚の関節すこし風 桑原三郎 第284号
カーテンのふくれ台風始まりぬ 西山ゆりこ 第284号
空中のA氏飛び去る夕餉どき 谷 雄介 第284号
みづうみに触れて震へし蠅の肢 西原天気 第284号
テレビ忌のひかりの昼の鎖骨かな 忌日くん 第285号
秋雲や愉快な人といふ評価 佐藤りえ 第286号
蟋蟀が東海道中膝栗毛 手銭 誠 第286号
石掃いて土は掃かざる暮の秋 草深昌子 第287号
月光の入り来るらし耳の穴 飯島士朗 第288号
色のなきかほとなりたる時雨かな 森賀まり 第290号
寒林に追いつめられて鍵まわす 中嶋いづる 第291号
松明業火須賀川時雨巻上げて 谷 雅子 第291号
しぐるるや棺の中にある隙間 石原ユキオ 第291号
鳩の目ん玉まで西日 矢野錆助 第292号
洗面に小虫の溺れ冬に入る 戸松九里 第293号
凩や欠けたる月を置き去りに 山崎祐子 第293号
眠剤売った金募金しろってか姉ちゃん 藤井雪兎 第293号
椎咲くや晝も夜の音救急車 竹中 宏 第294号
なかんづくあかひげ薬局の聖樹 山崎志夏生 第295号
凍つる夜や配電盤に目の落書き 平井岳人 第295号
回鶻の瞳の色を残す女医 上野葉月 第296号
雪が降る頭をのせる枕かな 上田信治 第297号
●
2012-12-30
週刊俳句2012年アンソロジー 90人95句
登録:
コメントの投稿 (Atom)
0 comments:
コメントを投稿