外山一機 上毛かるたのうた
あ…浅間のいたずら鬼の押し出し
お椀の舟に箸の櫂
御旗立てむは
鬼遊び
い…伊香保温泉日本の名湯
手癖の悪き妹も
堅緒擦れこそ
里土産
う…碓氷峠の関所跡
ねんねこお守はどこへいた
ねんねん峠は
こはからう
え…縁起達磨の少林山
だるまのお首は
何見てはねる
十五夜お月さん見てはねる
お…太田金山子育て呑龍
おろろんばいおろろんばいよ
小沢昭一
的こころも
か…関東と信越つなぐ高崎市
またも来よとて歌詠まむ
山のあなたの
へのへのも
き…桐生は日本の機どころ
姉は手だれの
枯桑を伐らば天霧る
桐生かな
く…草津よいとこ薬の温泉
すがめおとめの薬効は
裏のはたけで
ぽちがなく
け…県都前橋生糸の市
橋は仮橋もて足りぬ
坂東太郎に
橋いくつ
こ…心の燈台内村鑑三
この子よい子だ
ゑす様のお口吸はしよか
何着せましよか
さ…三波石とともに名高い冬桜
三年返りの姉上様が
石舟曳くは
ねずみ鳴き
し…しのぶ毛の国二子塚
月もさし入る
しのぶ毛の
針の返しをきかすかな
す…裾野は長し赤城山
声を限りと塗箸の
濡れざるはなき
裾野かな
せ…仙境尾瀬沼花の原
産まずなりたる少年の
ひそと舌焼く
ちんぐるま
そ…そろいの仕度で八木節音頭
七度の俎板藝に
七度の喝采のある
八木部落
た…滝は吹割片品渓谷
ぼくもお舟を浮ばして
まだ沈まずや
定遠は
ち…力あわせる百九十万
皆泣き濡れて韮川に
糊口を凌ぐ
舌の先
つ…つる舞う形の群馬県
きのふの夢見は撃たるる鶴の
千の厠に
千年過ぐ
て…天下の義人茂左衛門
遊びもはてて茂左衛門
七夜手招く
義理もあれ
と…利根は坂東一の川
ここはおくにを何百里
百葉箱に
かはざかな
な…中仙道しのぶ安中杉並木
姉やは十五で御籠の中よ
夜ごと積れる
舌粢
に…日本で最初の富岡製糸
今宵こそ
あるじまうけのざくろ飯
女工かなしと誰が云うた
ぬ…沼田城下の塩原太助
夢もうつつの襖絵に
継母必死の
足相撲
ね…ねぎとこんにゃく下仁田名産
裸踊りは猿後家の
葱とこんにやく
いらんかえ
の…登る榛名のキャンプ村
馬も馬糞も濡るるでせうが
まいむまいむが
すみませぬ
は…花山公園つつじの名所
わたしの人形
よい人形
蝶よ花よと産み分けて
ひ…白衣観音慈悲の御手
大八車は置いてけ堀よ
雲狐眠らす
慈悲もあれ
ふ…分福茶釜の茂林寺
二タ夜吊しのたぬ吉の
逆毛に似たる
なみがしら
へ…平和の使徒新島襄
石合戦も終へし日の
口にふふめる
小さき鈴
ほ…誇る文豪田山花袋
文藝の一つ覚えや
かがみて挟む
俎板も
ま…繭と生糸は日本一
日本一の口三味線も
鳴いて血を吐く
ほととぎす
み…水上・谷川スキーと登山
四十九日は
冷めたる下駄の
私をすきいに連れてつて
む…昔を語る多胡の古碑
夜伽の祖母の懐に
見しこともあり
豆右衛門
め…銘仙織出す伊勢崎市
祖母や忘るる長持の
帯は短し
襷は長し
も…紅葉に映える妙義山
女乞食も千早んずれば
夜ごとくくれる
紅葉鮒
や…耶馬渓しのぐ吾妻峡
夜這ひも絶えて
吾妻の午睡に
蝶もありぬべし
ゆ…ゆかりは古し貫前神社
在郷は三世にして
穴開銭を
手向けたり
よ…世のちり洗う四万温泉
金波銀波の海静か
還る紫電に
火星塵
ら…雷と空風義理人情
義理人情はくはばらの
乾く間もなき
父の舌
り…理想の電化に電源群馬
満洲帰りも弥次郎の
兄がくれたる
電気飴
る…ループで名高い清水トンネル
昭和や華と散りぬるを
幾代寝覚めぬ
汽車のころたん
れ…歴史に名高い新田義貞
野太刀ならねど三尺も
撃ちてし止まむ
げんげん野
ろ…老農船津傳次平
頭を垂るる稲穂とて
大尽通ふ
覗き穴
わ…和算の大家関孝和
鼠算にも倦みしかな
奥美濃郡上に
原聰一
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2013-04-07
テキスト 外山一機 上毛かるたのうた
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