「週俳の2013年」回顧
〔3〕九月~十二月:第332号~第348号 ……西原天気
9月は「SSTを蠟人形にしてやろうか」吟行レポート、澤田和弥による「ワタリウム美術館「寺山修司ノック展」テラヤマonリーディング」レポートを掲載した第332号からスタート。京都FMの番組音声が聞ける「俳句セブンティーンズ」は新趣向。関悦史さんの「斉田仁句集『異熟』を読む 因果の生々しい異形」は現代詩手帖』2013年6月号からの転載。他誌(紙媒体)からの転載も定着しつつあります。また第332号は【週俳8月の俳句を読む】も6本が並ぶ充実ぶりです。俳句作品は、高柳克弘さんの「ミント」10句。
第333号は「俳句甲子園」を特集。青木亮人、小池康生、阪西敦子、村越敦の4氏に寄稿いただきました。 橋本直さんの「きくのきせわた」は秋の季語「菊の被綿」にまつわる考証的エッセー。小津夜景さんには「星をつなぐ/時をつかむ 竹中宏「禹歩」(『翔臨』第77号)を読む」を寄稿いただききました。第333号のトピックは高校生・内田遼乃さん「前髪ぱっつん症候群(シンドローム)」10句。「モザイク mosaic」10句を寄稿いただいた佐々木貴子さんはこの直後の11月、第一句集『ユリウス』(現代俳句協会)を上梓されました。
この時期、「週俳」関係者が揃って俳句を小誌に掲載。まず村田篠が第334号に「草の絮」10句を、第338号に上田信治「SD」8句、西原天気「灰から灰へ」10句」、その翌週、第339号には、歴代の週俳OBの3人、山口優夢、生駒大祐、村越敦それぞれの、「戸をたたく」10句、「あかるき」10句、「秋の象」10句。
第335号には新雑誌「「ku+」(クプラス)」の創刊予告特集。今井聖さんの「奇人怪人俳人11 抒情派マルキスト・古沢太穂」はなんち(!)書き下ろし。俳句は、小早川忠義さんの「客のゐぬ間に」10句 、今泉礼奈さんの「くるぶし」10句に加え、仁平勝さんの「二人姓名詠込之句」というちょっと買わた趣向の8句も。
第336号には北川美美さん「さびしい幽霊」10句。山田耕司さんの時評は「恩田侑布子『余白の祭』と〈祭の余白〉」。三島ゆかりさん「華麗なるロケティッシュ・ワールド 山田露結句集『ホーム・スウィート・ホーム』を読む」は『銀化』誌からの転載。
10月に入って、第337号には高橋修宏さん「金環蝕」10句。この号から第338号にわたって【週俳9月の俳句を読む】を計9本。第338号には西原天気「玉田憲子句集『chalaza』の一句 踏みごこち」も。
第339号には【句集を読む】が2本。 太田うさぎさん「亀田虎童子『合鍵』を読む」は『雷魚』からの転載、西原天気「気分を伝える 高勢祥子句集『昨日触れたる』の一句」は書き下ろし。
第340号には俳句が3作品:鈴木牛後さんの「露に置く」10句、荒川倉庫さんの「豚の秋」10句、髙瀬祥子さんの「秋声」10句10句 。【句集を読む】が4本:小野裕三さん「俳句の逆説 齋藤朝比古句集『累日』を読む」、小津夜景さん「へテロトピアとその悲しみ 金原まさ子『カルナヴァル』を読む」、関悦史さん「〈史的=始原的認識〉と抒情 高橋修宏第3句集『虚器』を読んで」(北日本新聞から転載)、西原天気「考へる 川名将義句集『海嶺』の一句」。
第341号は恒例の「落選展」。
以降、落選展関連企画として、対中いずみ、三島ゆかり両氏による【2013落選展を読む】を第342号、第343号、第344号と3回にわたって連載。上田信治「第59回角川俳句賞受賞作 清水良郎「風のにほひ」を読む」は第342号。生駒大祐さんは第343号で候補作4作を読みました。
号を戻って第342号。山崎祐子さんと茅根知子さんに「あんばさまの町図絵」(津波で大きな被災を受けた地域の被災前の景観を忠実に復元)を紹介していただきました。俳句は本井英さん「柄長まじりに」10句と山岸由佳さん「よるの鰯雲」10句。 【句集を読む】に西原天気「他者の到来柿本多映『仮生』の一句」。
【週俳10月の俳句を読む】はこの第342号から第343号にかけて10本を掲載。
第343号は佐藤文香さんの新シリーズ「SUGAR & SALT」(佐藤+敏雄)がスタート。俳句は関根誠子さん「ナッツの瓶」10句と大和田アルミさん「桃剝いて」10句。【句集を読む】は谷口慎也さん「ショルダーバッグの中に高橋龍句集『十余二』」。『連衆』誌からの転載です。
第344号には岩淵喜代子さん「広場」10句と相沢文子さん「小六月」10句。
第345号は、石寒太さん「アンパンマン家族」10句と高崎義邦「冬」10句。論考に島田牙城さん「「忌」とは何か」。 【句集を読む】に谷口慎也さん「人間の俳句大沼正明句集『異執』」(『連衆』誌からの転載)。
第346号には〈「俳句」9月号「文語文法入門」に問う〉と冠した大野秋田さん「再説「俳句の文語」(前編)「完了のし」はよくある間違いか?」(後編は第347号)。俳句に五島高資さん「シリウス」10句。ほか上田信治の時評「「現代詩手帖」9月号「詩型の越境」、西原天気「柿本多映第一句集『夢谷』の一句 コマ落としのように」も。
【週俳11月の俳句を読む】は、第346号および第347号に計8本。
第347号に柿本多映さん「尿せむ」10句。柿本多映さんは句集『仮生』で今年の桂信子賞を受賞されました。運営側としてはうれしくタイムリーです。また小津夜景さん「ほんのささやかな喪失を旅するディスクール」は長い詞書の付いた20句。西原天気は久しぶりの【真説温泉あんま芸者】「全世界目録」。
第348号には奥坂まやさん「海原」10句。上田信治の時評「2013年の角川「俳句」から記事4つ「年鑑」から1つ」。話題は多岐にわたります。果たして「今年の積み残し」のありやなしや。また西原天気「今夜は湯豆腐かおでんがよろしいです 五十嵐義知句集『七十二候』の二句」、年末企画として「2013年のフェアウェル〔前篇〕」を掲載。
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2013-12-29
「週俳の2013年」回顧 〔3〕九月~十二月
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