南紀 花尻万博
仏手柑に仏手柑触れて娘かな
海苔拾ふ光にはつか禁霊区
現世(うつつよ)の玩具の二三狐と言ふ
蜜垂れる女(をみな)の背中県境
対を為す言葉に炬燵優しかり
夜一夜貝の受精に弛む磁場
寒禽の餌食(ゑばみ)例へは寂しかな
節分や育ての親に種降りて
静けさに挿話集まる室の花
野兎の舞踏場を出ぬ老舗かな
大太鼓白けて鯨煮られけり
葉牡丹に収まる子ども略記号
炭焼きと造花に嵩む花影かな
乱数も焚火の一つ枯木灘
即興の猪撃ち片目足らぬなり
きのくに線子の霜焼と煙(けぶ)り合ふや
鼬得て温もりゆけり鼬罠
朝日新聞2015/1/27夕刊より転載
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2015-02-01
作品17句テキスト 花尻万博 南紀
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