自由律俳句を読む 80
第三回全国自由律句大会〔2〕
馬場古戸暢
前回に引き続き、第三回全国自由律句大会投稿句を鑑賞する。
拭いても磨いても老いていく鏡 富永鳩山
準大賞句。鏡と自身の両方に、「老いていく」の語がかかっているのだろう。どうにもこうにも、生きて行くほかない。
のれん押し上げて客は初夏の風 富永順子
先ほどうどんを食べてきたためか、この句ののれんもうどん屋のそれだと思う。初夏の風は、こちらの気持ちを明るくしてくれるので歓迎である。
小さな靴一つ残し春に立つ子 下瀬美保子
幼子がようやく立ったところと読んでもいいし、幼児だった我が子がひとりだちしたところと読んでもいいだろう。小さな靴が可愛らしくもあり、また、さびしさを助長しもする。
座布団枕に滝は見に行かず きむらけんじ
ホテルやスーパー銭湯にて、畳敷きの広場で休んでいるところを詠んだものと見た。滝よりも寝たいのである。横になりたいのである。
あれこれ忘れて生きたふりする 阿部美恵子
「生きた」とは、これまで生きてきたという意味か、それとも、現在進行形で生きているという意味か。おそらくは両方であって、きっと生きるとはこういうことんなんだろう。
2015-02-15
自由律俳句を読む 80 第三回全国自由律句大会〔2〕 馬場古戸暢
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