2015-06-07

自由律俳句を読む 96 さはらこあめ〔2〕 馬場古戸暢

自由律俳句を読む 96
さはらこあめ〔2〕

馬場古戸暢



前回に引き続き、さはらこあめ句を鑑賞する。

やさしくされました電線に這う月  さはらこあめ

電線を地中に埋める計画があったように思うが、未だ実行されていない。月はいつまでも、日本のここかしこで電線に這い続けるほかない。

太股の間から月を見た  同

女性ならではの句。カーテンを開けているのがよい。

風の名を春と呼びたくなる歩道  同

夏や秋、冬とは呼びたくならないのかと考えたが、やっぱり春だなと思うにいたった。楽しい一日となりそうである。

男に雪が降る静か  同

こうした男はダンディでなければならないと、常日頃より考えている。果たして彼はどうだったか。

どこまでが空なのか燕は行った  同

空の範囲については、定義がなされていたように思う。燕はそうした定義を破壊して飛んでいったのか。

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