2015-11-22

10句作品テキスト 千倉由穂 器のかたち

器のかたち  千倉由穂

暮らしより遠のく身体鰯雲

秋蝶の家族であった風ばかり

交番の神木として紅葉せり

恋風という語恐ろし実南天

寒風を切り寒風として漕げり

マスク押し進めるように歩む人

凍星のどこかでペンを置く教師

家族という器のかたち寒牡丹

鉛筆を削る凍星には見せず

生きるとは待つこと羆も人間も


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