週俳2015年7月のオススメ記事
太宰治のいる風景
小池正博
太宰治は俳句と関係が深い。連句とはもっと関係が深い。
芭蕉の「古池や」の句について述べた『津軽』の一節はよく知られている。「どぶうん」ではなくて「チャボリ」というやつだ。
『富嶽百景』では「単一表現」の美しさを説いている。このころ太宰は「軽み」について考えていた。
『富嶽百景』の構成が連句的だという人もいるが、『晩年』の冒頭作「葉」ははっきり連句的である。「死のうと思っていた」で始まる小説。この小説は36の断章から構成されている。36といえば歌仙形式ではないか。
さて太宰の忌日が「桜桃忌」。柳本々々は「忌日を読む」(本誌第429号)で「桜桃忌」を用いた俳句と川柳を目配りよく論じている。キーワードは「動的」「ぴょんぴょん」「行動」。
「やっとるか」
「やっとるぞ」
「がんばれよ」
「よし来た」 (太宰治『パンドラの匣』)
本誌第430号は特集「曾根毅句集『花修』を読む」。六人が句評している。曾根は鈴木六林男を師として俳句を学んだ。六林男の鞄持ちをしながらいろいろなことを吸収したという。そういう話を曾根から聞いたこともあり、田中亜美もどこかの俳句時評で書いていたと思う。
あと、関悦史の「BLな俳句」(第431号)がおもしろく、馬場古戸暢の「自由律俳句を読む・矢野錆助」(第428号)は自由律の現在を知る意味で注目したが、ともに連載の一部である。
2015-12-27
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