〔今週号の表紙〕
第450号 蓋
近恵
熱川の坂の途中で見つけた消火栓の蓋です。纏オンリーで、実に潔いデザインです。消火栓と書かれていなくても、この蓋の下には火消しに必要な設備があるとわかります。
いざという時にすぐに見つけられるよう、周りを黄色いラインで囲んで目立つようにしてあるのもミソです。建物が密集した温泉街での火事は、消火の遅れは大惨事を招きます。ちなみに近くにあった水道施設の蓋のまわりは黄色い枠はありませんでした。
誰もが下を向いて歩く訳ではありません。かつて坂本九は「上を向いて歩こうよ」と唄いました。大好きな歌です。私だって上を向いて歩きたい。だけど、たまには下を向いて歩くときもある。そんな時、消火栓の蓋が勇ましい様相で目に飛び込んでくるのです。その一瞬、生きててよかった〜と意味もなく思うのです。
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