【週俳8月の俳句を読む】
リズミカルかつ体感的
三島ゆかり
追ひこさず追ひこされずに踊の輪 加田由美
当たり前のことを言っているようでいて、似て非なるものがいろいろ言外に頭をよぎる。例えばエスカレーター。いつから二人幅のエスカレーターの片側が追い越し専用レーンになってしまったんだろう。あるいは例えばフォークダンス。八小節だか十六小節だか単位でパートナーが入れ替わり、意中の人が次第に近づきまた遠ざかる。そんないくつかが頭をよぎるものだから、「追ひこさず追ひこされずに」がじつに絶妙に感じられる。また、「追ひこさず/追ひこされずに」というたたみかけからは、踊りの振り付けのちょっと身のひねりなども、リズミカルかつ体感的に思い出される。じつにいい句である。
2016-09-18
【週俳8月の俳句を読む】リズミカルかつ体感的 三島ゆかり
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