【八田木枯の一句】
きりぎりす繃帯よりもむずがゆき
西原天気
『夜さり』(2004年)より。
きりぎりす繃帯よりもむずがゆき 八田木枯
「きりぎりす」の後にリズム上の切れのようなもの(休符)があるものの、意味上の切れではなく、倒置。「むずがゆき」が連体形なので、一物(いちぶつ)と解するべきなのでしょう。
きりぎりすはたしかにむずがゆい。原因は語感なのか形状なのか質感なのか、あるいはそれらが相俟って、なのか。とにかく、むずがゆい。
その比較に繃帯。繃帯も長くしていると、ほんと、むずがゆい。それ以外に、きりぎりすと繃帯が似ているところはない。痒い繋がりで二物が出会った。
比較の相手と二物衝撃を為すという、俳句に伝統的な設計には、まだまだ可能性があるように思います。
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