2018-06-10

中嶋憲武✕西原天気の音楽千夜一夜 第54回 ザ・ローリング・ストーンズ「ブラウン・シュガー」

中嶋憲武✕西原天気の音楽千夜一夜
第54回 ザ・ローリング・ストーンズ「ブラウン・シュガー」



憲武●セ・パ交流戦始まって2週間近く経ちますが、セ・リーグ、パ・リーグ、巨人阪神、こうした二項の並び立つ事例というのは枚挙に暇なくて、そんな訳でストーンズです。



憲武●昔からストーンズ派、ビートルズ派っていたと思うですよ。僕はまあ、ビートルズを聴いていたので、ある時期までストーンズは聴かなかったんです。

天気●聴き始めたのは、私もビートルズのほうが先でした。

憲武●渋谷陽一は、「ロックは語れない」(新潮文庫)で、忌野清志郎との対談の中で、「ローリング・ストーンズを聴いてるやつはビートルズを聴いちゃいけなかったし、ビートルズを聴いてるやつはローリング・ストーンズを聴いちゃいけなかったという、そういうノリが当時あったんだよね」と語ってます。

天気●ちょっと物語化してるっぽいですが、まあ、なんとなく分かれていたかも。

憲武●それでもやはり、自然と耳にしてしまう訳で、ラジオとか部室とかでね。「御免なさい」と思いながら、ストーンズのベスト盤を買って聴いたのが始まりです。

天気●ストーンズは、最初に買ったのがたしかスティッキー・フィンガーズ(1971年)。

憲武●一曲目が「ブラウン・シュガー」です。ぼくが買ったベスト盤「ハイ・タイド・アンド・グリーン・グラス」のライナーノーツを井上光晴が書いてて、荒れた海辺で聴いた「タイム・イズ・オン・マイ・サイド」が妙に物哀しかったと。

天気●井上光晴! へぇえ。ストーンズ・ファンだったんですかね?

憲武● ライナーノーツというか随筆のような文章で、「荒れた海辺」という詩集からの転載だったかもしれません。漁師の若者たちと短い会話を交わす内容で、「キース・リチャーズのギターが好きでね」って言ってるので、ファンだったんじゃないですかね。

天気●ところで、最初、二項って話だったけど、第三項として、ザ・フー、キンクスもあったわけです。ブリティッシュ・ロックの老舗バンドとして。ちょっとひねくれ者のファンにはそういう選択もあった。私はキンクスにハマりましたけどね。

憲武●知っています。キンクスのアルバム、頂いたことあります。

天気●おもしろいのは、ストーンズの主要メンバーは、早くにプールで変死したブライアン・ジョーンズを除けば、全員いまも存命だってこと。ビートルズもザ・フーも、4人中2人が亡くなりました。ストーンズはあんなに不健康そうなのにね。キーズ・リチャーズなんて、だいぶ前から、もうミイラっぽいけど、でも、まだ生きてる。世の中、不思議なもんです。

憲武●ツイッターでミック・ジャガーをフォローしてるんですけど元気ですよ。ポール・マッカートニーより一つ下だから、75歳ですけど。でも年寄りって元気だと思ってても、突然死んだりしますからね。そういう意味では子供と年寄りは、気をつけて見守ってないといけません。



(最終回まで、あと947夜) 
(次回は西原天気の推薦曲)

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