2018-11-25

10句作品 大塚凱 真空地帯

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大塚凱 真空地帯

ゆきひらに冬のはじめの水しづまる

築地もはやマスクの中の凪ぎごこち

ひおもてをくしやみの粒のながれゆく

鮪の眼曇りながらに雲まだら

蟻つたふ二の酉までの鉄パイプ

もしも松なら悴んだ背へかたむく

枯萩の透けてくるまで考へる

雪吊の縄ゆれてゐる息のおと

雪吊に選ばれぬ木と触れてゆく

セーターに松葉が刺さる帰らねば


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