【週俳2020年新年詠の一句】
枕の下に
瀬戸正洋
枕よりはみ出してゐる宝船 森脇由美子
よい初夢を見るために、枕の下に宝船の絵を入れて寝ます。だが、私たちのできることは、そこまでなのです。宝船の絵が枕より、はみ出たのは宝船の意志によるものなのだと思います。私たちは、自身のちからでできることなど何もないことを知っています。宝船の絵が、枕よりはみ出したことが、吉なのか、凶なのか、それは、わかりません。目覚めた後に、良い初夢を見たのか、見なかったのか、そのことでさえ、忘れてしまっているのかも知れません。それでも、私たちは、まいねん、一月二日の夜、一年のくらしが、平々凡々であることを願って、枕の下に宝船の絵を入れて寝るのだと思います。
≫2020年新年詠
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