2020-02-23

中嶋憲武✕西原天気の音楽千夜一夜 カーペンターズ「Goodbye to Love」

中嶋憲武✕西原天気の音楽千夜一夜
カーペンターズ「Goodbye to Love」


天気●前回に続いて、カーペンターズなんですが、じつは私、ちゃんと聴き始めたのはオトナになってからなんです。十代の頃、ラジオでよく流れてた、たくさんのヒット曲を知ってはいたのですが、その頃って、「売れているもの」を敬遠するというか、そういう心性ってあるじゃないですか。で、聴かなかった。ロックじゃなかったしね。

憲武●僕は気になったものをシングル盤で買ってました。「シング」「愛は夢の中に」「イエスタデイ・ワンス・モア」「プリーズ・ミスター・ポストマン」などです。アルバムをちゃんと聴き始めたのは、大学入ってからです。

天気●それにくわえて、大ヒットアルバム「ナウ・アンド・ゼン」 (1973年)に典型的なのですが、米国のゴールデン・シックスティーズ(裕福な60年代)に少年少女期を過ごした感にあふれていて、そういうポジティブな雰囲気も、当時は苦手だった。

憲武●そうですね。カーペンターズ といえば、いつもニコニコって感じで、そうしたところもちょっと苦手だったかと。

天気●で、オトナになると、やはりウェルメイドで洗練されたポップスの良さに惹かれるようになった。アレンジや伴奏の一流感というかね。というわけで(どういうわけだ?)、1曲選ぶのは難しいんですが、前回、憲武さんがアルバム収録曲というシブい選曲だったから、というわけでもないんですが、シングル盤から「愛にさよならを(Goodbye to Love)」。



天気●まずもって、ピッチ(音程)のいいヴォーカルの気持ちよさ。

憲武●発音も良くて、中学生の僕には、いい英語の教材でした。あと声質が圧倒的に魅力的。

天気●コーラスからギターソロ(今では懐かしい感じのディストーションを効かせたソロです)へ、ドラマチック。恥ずかしいくらいドラマチック。

憲武●ヘヴィメタのみなさんは、だいぶ影響受けてるんじゃないですか。

天気●そんなこと言うと、ヘヴィメタの人に叱られますよ。で、調べてみたら、ブラック・サバスとデビュー時期がほぼ同じなんですね。1枚目のアルバム『黒い安息日』、カーペンターズの2枚目『遙かなる影』が1970年。

憲武●そうでしたか。どっちがどっちとは言えないかも、ですね。

天気●「恋のチャンスが何度も何度も私の前を通り過ぎていった♪」「恋について私が知っているのは、それなしで生きる術、それが知っているすべて♪」とちょっと悲しい歌詞なんですが、歌唱には哀しいなかにも明るさがあって、いいんですよね。 


(最終回まで、あと868夜)
(次回は中嶋憲武の推薦曲)

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