2020-07-19

【空へゆく階段】№33 解題 対中いずみ

【空へゆく階段№33 解題

対中いずみ


「晨」1989年5月号は、第31号。裕明30歳。当時、「晨」は宇佐美魚目、大峯あきら、岡井省二の三人を代表同人とする俳誌であった。その作品評を裕明と中田剛が寄せている。因みに、裕明が「晨」で魚目・あきらの句を評したのは都合三度あり、今号はその初回である。弱冠三十歳の裕明が代表同人作を評するということで、「緊張を強いられた」と書いてはいるが、それにしてはずいぶんゆったりとした鑑賞ぶりではある。

「晨」1989年5月号より、5句を引く。

  藁つんで水細々と冴返る

  百千鳥畦後手にめぐりたる

  耕しに水音かたくなりにけり

  水音をふたつ判じて耕せり

  朝東風や薪棚に日のくまぐまと

田中裕明 特別作品評・第三十号より

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