2022-12-25

後記+プロフィール818

後記 ◆ 西原天気


今年最後の号なのですが、まだほぼ1週間を残しているせいか、「年末」感は薄い。仕事納めは、まだ、という人も多いでしょうし。

1年を振り返る、という気分でもない。それが年齢的なものに由来するのか、個人的事情なのかはわまりませんが、振り返るよりも、明日のこと、数日後のこと、1か月後のことをもっぱら考えている。きっと回顧や反省も大事なんでしょうが、それを今後に活かすほどの「今後」は残されていない(これはあきらかに年齢的なものです。若者諸君は、きっちり回顧・反省して自分の未来をつくってください)。つまり、余生はもう、出たとこ勝負。なるようにしかならない。でも、同情しないでください。それはそれで愉しいのですよ、おそらく。


この号には、島田牙城さんの12月8日、開戦日についての記事。しばしば話題になるのですが、12月8日と聞いて、太平洋戦争が始まった日と解する人のほかに、ジョン・レノンの命日と思う人もいる。レノン忌という季語(?)含みの句も何度か目にしたことがあります。世代によるところは大きいのでしょう。その意味では、これから先、どちらも思い浮かばない、12月8日は12月8日に過ぎないという人が増えていくはずです。季語、もっと広く言えば、ことばは、運用・使用とは別の秩序に存するものでもあるので、即・死語化、即・風化ということにはならないでしょうが、生きている私たち、そのときどきの生者と語の関係は、どんどん変化していくのですね、きっと。


あ、そうそう、世の中的にはクリスマスですから、いま思いついた句を挙げておきます。

 東京を歩いてメリークリスマス  今井杏太郎

 トナカイの翼よあれがドヤの灯だ  小津夜景

さきほどの話でいえば、「ドヤ」という語に馴染みのない、知らない人も増えてるんじゃないでしょうか。


それではまた、次の日曜日、新しい年の最初の日曜日にお会いしましょう。


no.818/2022-12-25 profile

■小川楓子 おがわ・ふうこ   
1983年生まれ。「舞」会員。終刊までの十年間「海程」所属。
 
■黒岩徳将 くろいわ・とくまさ
1990年生まれ。「いつき組」「街」所属。
 
外山一機 とやま・かずき
1983年生まれ。「鬣TATEGAMI」同人。力行会の書庫に出入りして以来、移民の俳句の世界に興味津々。
 
■中矢 温 なかや・のどか   
「楽園」、現代俳句協会所属。

三世川浩司
1956年生まれ。「海原」に参加。

■横井来季 よこい・らいき
2001年生まれ。愛知県生まれ。「楽園」「奎」「ふらここ」所属。
 
 
■島田牙城 しまだ・がじょう
1957年京都市生まれ。波多野爽波に師事。「青」編集長などを経て、現在「里俳句会」代表。邑書林編集長。句集『火を高く』『袖珍抄』『誤植』。

■中嶋憲武 なかじま・のりたけ
1960年生まれ。「炎環」「豆の木」。2013年週俳eブックス「日曜のサンデー」。2018年 第四回攝津幸彦記念賞・優秀賞受賞。2019年、第0句集「祝日たちのために」(港の人)。山岸由佳とのコラボレーションによるwebサイト「とれもろ」

■岡田由季 おかだ・ゆき
1966年生まれ。「炎環」同人。「豆の木」「ユプシロン」参加。句集『犬の眉』(2014年・現代俳句協会)。第67回角川俳句賞。ブログ 「道草俳句日記」

■村田 篠 むらた・しの
1958年、兵庫県生まれ。2002年、俳句を始める。現在「月天」「塵風」同人、「百句会」会員。共著『子規に学ぶ俳句365日』(2011)。「Belle Epoque」

■上田信治 うえだ・しんじ
1961年生れ。共著『超新撰21』(2010)『虚子に学ぶ俳句365日』(2011)共編『俳コレ』(2012)ほか。句集『リボン』(2017)エッセイ『成分表』(2022)。

■西原天気 さいばら・てんき
1955年生まれ。句集に『人名句集チャーリーさん』(2005年・私家版)、『けむり』(2011年10月・西田書店)。笠井亞子と『はがきハイク』を不定期刊行。ブログ「俳句的日常

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