湯あがりのさっぱり感
井出野浩貴『孤島』の一句
西原天気
新涼や日のあるうちの湯屋帰り 井出野浩貴
夏ならまだ暑く清涼感がない。冬だと、日のあるうちに湯屋を出てくるには無理がある(私が銭湯をよく使っていた頃は16時に開いていた)。
新涼の季節がちょうどいい。
まだ明るい時間に風呂を済ませるのは、存外気持ちがいい。いつもはまだ働くなどしていて、できない。それができる爽快。まだ身体がきれいさっぱりした爽快。
句の気持ちよさを、季語が過不足なく支えている。
この句集には、ほかにもこんな句。
銭湯の故障のままの扇風機 同
井出野浩貴『孤島』2023年5月/朔出版
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