週刊俳句2024年アンソロジー
34名34句
初日記果物を剝く白さかな 瀬間陽子 第876号
枯れきらぬ芭蕉を枯らす春の雨 堀切克洋 第877号
暖かや木屑もそれを食む虫も 森尾ようこ 第878号
春や春ひと日の窓を開け放し 浅川芳直 第880号
流氷やいつかの私だつたもの 宇佐美友海 第881号
卒業の脛美しや血沼海 岩田奎 第883号
花馬酔木土嚢破れて土あらは 若林哲哉 第884号
つちふるや八坂の塔を鳥かすめ 千鳥由貴 第885号
はなうたにちらほら歌詞や春大根 田中木江 第887号
白藤の真下をくぐる櫓舟かな 加藤右馬 第889号
酔へば海訛りひろがる夜の涼し 楠本奇蹄 第890号
白服がハンバーガーを迷ひなく 鈴木総史 第891号
五月闇釘のまはりに槌の跡 野城知里 第891号
ルピナスや雨降ることに意味のなく 上田信治 第892号
蘭鋳の欲深さうな瞼かな 桐山太志 第894号
生きてゐることの楽しき鯰かな 犬星星人 第895号
逝去なお続く年表扇風機 牧野冴 第897号
なけなしを子にせびらるる梅雨入りかな 喪字男 第898号
さうめんは湯にほどかれて母の声 山中広海 第900号
勾玉に古語の湿りや野分立つ 有瀬こうこ 第903号
飛ばし合ふ西瓜の種の宙にあり 若杉朋哉 第904号
星飛んでうすき傷ある銀の匙 村上瑠璃甫 第907号
焚火跡踏めば浅間のけむり マブソン青眼 第909号
遥かなるものに従い鳥渡る 月野ぽぽな 第911号
何にあこがれ少年はきつねをころす 垂水文弥 第912号
われらの夢を集めし塔のうすけむり 関灯之介 第914号
息白く糸を漏らさず立っており 三宅桃子 第915号
やきそばをせしめれば足る春祭 藤田哲史 第916号
瑕新た木の下闇のしほれ花 田中惣一郎 第917号
また跳んでべつの芒でゆれてゐる 高梨章 第917号
まひるまの雨の枯野を今の人 クズウジュンイチ 第918号
冬ぬくしラー油の玉の繋がりて 千倉由穂 第918号
(福田若之・謹撰)
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