【中嶋憲武×西原天気の音楽千夜一夜】
Magnolian「Caroline」
天気●ふだん耳にしない国のポップミュージックを、という感じで、以前、アイスランドのバンドやチェコのロックバンドを取り上げました。今回はモンゴルです。モンゴルといえば、ホーミー+ヘヴィメタの The Hu が比較的よく知られるところですが、もうちょっとポップでアーバンな、Magnolian「Caroline」です。
天気●ちょっとセンチで、いわゆる浮遊感・透明感のある唄とサウンド。草原じゃないモンゴルの暮らしのスナップを散りばめた映像がよく合ってます。
憲武●オルタナティブな感じの曲ですね。子供の頃の失恋の曲でしょうか。モンゴルに行ってみたくなりますね。
天気●この人を知ったのは、初めて観るモンゴル映画『セールス・ガールの考現学』(2021)のなかの一シーンでした。
憲武●観たくなるような予告編です。
天気●封切りじゃなくて、ついこないだ、配信で観たのですが、とてもよかった。タイトル(邦題)から想像するのと全然違って、この映画、大学生の女の子の短期間のちょっとした体験、成長譚。出だしのバナナの皮が洒落てて、おっ! と期待が膨らみます。
憲武●主演の女の子が昔の薬師丸ひろ子にちょっと似てる感じで、いいですね。素朴系女子好きです。
天気●その「素朴系女子」がどのように変わっていくかが骨子の映画です。ぜひ観てみてください。「草原じゃないモンゴル」がほとんど(一場面だけ出てくる草原が効果的です)。主人公その他を正面に据えての固定カメラが印象的で、ときおりミュージックビデオ的なくだりが挟まる。さっきのバスのシーンも、そのたぐいです。暇なとき、機会があれば、見てみてください。映画そのものが、若者の無垢や世の中との軋み、かすかな傷のようで、感じのいい映画でした。
憲武●「セールス・ガールの考現学」覚えておきます。
天気●で、唄に戻ると、盛り上がりすぎない音、つぶやき・鼻歌っぽい歌唱が、この季節に、なんだかぴったりのような気もしてます。
(最終回まで、あと634夜)
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