【中嶋憲武×西原天気の音楽千夜一夜】
かもめ児童合唱団「じゃじゃ馬娘」
憲武●少年合唱団という響きはもはやノスタルジーを伴って思い出すものと思ってました。上高田少年合唱団は「鉄腕アトム」のオープニングテーマを、西六郷少年少女合唱団は「鉄人28号」のエンディングテーマをそれぞれ担当していました。ところがそうした年少の合唱団は現在も存在しているのです。先週に引き続きまして、カヴァーの作品を取り上げてみたいと思います。かもめ児童合唱団で「じゃじゃ馬娘」です。
憲武●大貫妙子の作詞作曲で、アルバム「MIGNONNE』(1978)に収録されている曲です。そしてこれをカヴァーした今回の曲は、かもめ児童合唱団のアルバム『海に向かって歌う歌』(2021)に収録されてます。
天気●「じゃじゃ馬娘」って、なつかしいことばですね。やや死語かな。
憲武●現在ではそうですかね。「どんちゃん騒ぎ」と同じような懐かしさ、でしょうか。結成は1972年ですので新しい合唱団ですね。現在も活動している西六郷少年少女合唱団は1960年代ですから。かもめ児童合唱団は、三浦半島近辺在住の3歳から13歳の児童で構成されているようです。三浦半島なので、かもめなんですね。
天気●児童合唱団というと、さきほどもあったように、テレビアニメの主題歌。ソノシートを思い出す。
憲武●「ウルトラマン」といえば、みすず児童合唱団ですし。この曲、ちょっとリンダ・ロンシュタットの「You're No Good」みたいな雰囲気ありますね。揺れるような、たゆたうようなメロディなんですが、歌いこなしてますね。ソロを取ってる女の子。
天気●もっと似てる曲がありそうですね。わかりませんが、いずれにせよ、(悪い意味ではなく)既知感のあるメロディ。
憲武●プロデューサーの意向なんでしょうか。年少者の合唱って、特に唱歌とか童謡を歌われると、少しうるっとするような感じがあるんですが、例えば木下恵介の映画「二十四の瞳」の中で歌われる「七つの子」などですね。あの声は何なんでしょう。魔法のような。この「じゃじゃ馬娘」でも、その魔法が遺憾なく発揮されてる気がします。
天気●声も表現も成長途中な感じが、憲武さんの言う「うるっ」に結びつくのかもしれません。
憲武●もう一曲なんか聴いてみたいですか?
天気●……。
憲武●よろしいですか。小さい頃から音楽を楽しめるって、羨ましいですね。
(最終回まで、あと585夜)
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