第976号
2026年1月4日
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二〇二六年新年詠 (到着順)
一月一日
UNIQLOの赤さで年の明けにけり 押見げばげば
賀状配達ドリップの落下音 有本仁政
伏線を拾ひきれずに去年今年 伊藤左知子
核実験(トリニティー)在(あ)らざりし世界の記憶 宇井十間
母屋納屋みんな手の内嫁が君 井原美鳥
駄句の山も類句の海も初景色 ハードエッジ
巨悪ありこれを裁けず年新た 赤野四羽
老人が指絡め合ふ初鳩も クズウジュンイチ
自己否定カプセルホテルの小豆粥 瀬戸正洋
和生先生の句集を読始 杉田菜穂
Happy New Year 書初はキーボード 鈴木茂雄
初東風に絵馬の馬みな駆け出せり 内村恭子
発車ベル止み動き出す初山河 竹内宗一郎
初日かげ海にマイクロプラスチック 直井あまね
初声や水湧くやうに声増えて 小谷由果
脳ガ見ルガザノ瓦礫ガ初山河 んん田ああ
スマートフオン去年の電気を身のうちに 岡田一実
鯑や斜めに振つて七味瓶 マイマイ
ぬかりなく二三羽の来る初御空 辻本鷹之
コンビニの珈琲啜り初日の出 杉原祐之
謹賀新年塵になるまで物語 中矢温
淑気満つ約百本のうまい棒 榊陽子
鏡餅かがみ先生げんきかな ごしゅもり
割箸をわり女正月はじまりぬ 髙木小都
御降や庭の小人の阿の口に 中矢尚
初洗顔終えればこんな顔だった 笠井亞子
真ん中に香箱座り淑気満つ うっかり
馬の背に小鳥描き足す年賀状 岡田由季
双六にからあげクンを食べこぼす 有瀬こうこ
喪の家をおほきく避けて獅子舞ゆく 千鳥由貴
バカと書く馬鹿元旦の砂浜に 丹下京子
初春や餡パイ10%引き 倉松未優
よそいつつ雑煮に生命吹き込みぬ 青島玄武
初富士や鬣めきし雲靡き 鈴木不意
読初や吉村昭『羆嵐(くまあらし)』 広渡敬雄
元日や小さきままに老いし犬 岸本尚毅
一年をくるり廻して年新た 火山晴陽
皇后杯八十年後の広島へ 紀本直美
初詣ホコリに時の影が過ぐ 隠岐灌木
流れゆく光のビルや初電車 西生ゆかり
淑気かの日の本にあれかの奔馬 大井恒行
紅白の糞の爆撃初鴉 飯田冬眞
休みを知らぬドンキにて宝船買う 中内火星
淀川に茶碗投げ込み大旦 永山智郎
駆けやまずウラヌス号や去年今年 堀田季何
靴音さみし初凪を見しひとの 五十嵐秀彦
門に松立てる不思議な星 以上 中村想吉
初夢の迷路に青い馬がゐる 篠崎央子
貫ける花びら餅の牛蒡かな 宮本佳世乃
五日まで前借りできないのがつらい 北大路翼
六人家族の影睦み合ふお元日 細川洋子
一月二日
泰西泰東ごろりと年のあらたまる 鈴木牛後
門松落ちてきて終わらない銀あつめ 細村星一郎
ひのえうま竹馬猿がバク宙す 藤井祐喜
初夢はみんなも詠んであらもーど 郡司和斗
魔羅抜いて神馬はるかなる一粲 九堂夜想
所狭し野老に心在りし頃 ミテイナリコ
初稽古観覧席の埋まりをり 小林奈穂
パエリアの大きな貝やお正月 千野千佳
春着きた女流棋士の「ロン」の声 川髙真介
五重塔足りない国の初日の出 岡村知昭
おとうとに姉われ淡し年賀状 津川絵理子
タバスコの小瓶に透かす初日の出 西沢葉火
御降の濡らし見知らぬ海苔が竿 井口吾郎
初夢に入る亡き人に会うために 月野ぽぽな
初富士の白銀しゃくる夢を見し 塩山五百石
ついて来る雲の迅さよ初電車 桐山太志
新しき風吹いてくる大旦 森瑞穂
仏飯のほのかな湯気やお元日 金子敦
プリンタの天板小突くお元日 松田蕾子
日溜りに光うごきて初雀 松野苑子
雑煮かな入歯もまずる口の奥 浅沼璞
パーカーのフードのだらり初詣 柏柳明子
底無しの国へぎつしり初詣 西川火尖
猫狩りし雀横たふ初日影 大野泰雄
初鴉杜の都を朗朗と うにがわえりも
コストコの鏡餅橙は紙 小林かんな
丼の蓋に沢庵吉書揚 山口昭男
人日や水の青さに黒き魚 藤井万里
鮫と人交わる海を初日の出 久留島元
箱へ箱へ小銭の動く淑気かな 水城鉄茶
新玉の日矢を遠くに日本海 しなだしん
亡き人の優しさを詠む初句会 原和人
頬に散る雪や巌の初湯殿 神保と志ゆき
初あかね天馬翔け行く水平線 衛藤夏子
目と鼻の離れたがりて福笑 村上瑠璃甫
初夢のことは喋る派だけどいい? 土井探花
朝寝坊して初空のやはらかに 小川軽舟
史書めいて雑煮の湯気の行方かな 野口裕
二日だよ楠も柳もまつきいろ 島田牙城
年越してゐる犬もゐる生きまくる 宮﨑莉々香
一月三日
傀儡師恋したるかに若々し 山本たくみ
駐車場係の声や初日の出 竹岡佐緒理
真夜中の天井にゐる淑気かな 松本てふこ
紋切型辞典にえいえんは雪 川合大祐
淑気つてなんだ物の怪のたぐひか 叶裕
胸さわぎして初雪に寝つかれず 福田若之
なにもなくそこはかとなく淑気かな 高梨章
とつくにの僧匂ひ立つ淑気かな 津久井健之
二日からおのづと数をかぞへゆく 鴇田智哉
せせらぎのしひたけいろのみつかかな 彌榮浩樹
御降をつけて若芽の如き耳 赤羽根めぐみ
獅子舞の去つて家々ものしづか 菅谷糸
乗初のリュックふはりと前に抱く 黒岩徳将
裸木の演者に夜は粉ふぶき 斎藤悦子
往くも還るも声や匂いや猿廻し 曾根毅
しめ縄の影にもお辞儀して跨ぐ 竹井紫乙
「もういいよ」と友を木馬から降ろす 月波与生
千枚漬底敷く昆布ぞめでたけれ 沼田真知栖
肩車されて破魔矢の鈴鳴らす 齋藤朝比古
好きすぎて滅初空の観覧車 林雅樹
戻りきて暮れたる空に初筑波 五月ふみ
破魔矢置くフードコートの一人席 中山奈々
ひとの家ばかりで初晴の二時は 花島照子
乗初や寄席に行く人行かぬ人 黒木九
淑気満つ箱根駆け抜く襷かな 齋藤満月
おりゐぶはちさき芽ぶき星新し 琳譜
初春の吸物を麩の一回り 野城知里
ハレの日の布巾ゆふらり草石蚕かりっ 伊予素数
建築は二日の空をまどろみて 上野葉月
繪歌留多のねむたき色をひろげたり 常原拓
初笑繰り返し聞く武勇伝 瀬戸優理子
雪になりさう切株に根が延びて 下坂速穂
初明りして街騒の遠かりし 依光正樹
邂逅や冬褐色の木をあふぎ 依光陽子
真空を抜け出してきた鏡餅 西原天気
雑煮がため冬の野を抜け餅を買う 塩島蕗人
仲直りせよと瑠璃色のぽつぺん 西山ゆりこ
開闢のごとく三日の鍋鳴れり 冨嶋大晃
元旦の伊豆高原をスニーカー 松尾隆信
伊豆の森黒々とあり初茜 松尾和代
灯台光初東雲の中にあり 松尾清隆
大晦日鏡の人とじゃんけんす 松尾和希
お正月旅行へ行ってリスを見る 松尾千秋
息子にも屠蘇のつがれてゐたりけり 矢野玲奈
赤を着て少し恥づかし御慶かな 西澤みず季
水替へに零れざるなし実千両 太田うさぎ
初手水一度ですます点呼かな 地野嶽美
三日はやミモザサラダのあかるさに 楠本奇蹄
初茜機影の消える硝子窓 わたなべじゅんこ
月光につなぐ小さくなった馬 八上桐子
ビール瓶の王冠すっ飛んで元旦 近恵
初電話宿から決める次の旅 千葉芒
折り皺に駒の倒れる絵双六 佐藤りえ
初日待つ祭喇叭を火にかざし 田中木江
水門に鳥の集まる淑気かな 村田篠
エノケンの声に憂ひの初御空 亀山鯖男
冬夕焼空のどこかに非常口 林昭太郎
丹頂の潦へと指ひらき 松田晴貴
半口もて母は淑気を吐くけもの 田中目八
初詣までを三度も子は転び 鈴木総史
破魔矢持つ人皆眠り電車中 矢野春行士
一椀の海食ふごとく雑煮かな 倉田有希
風花の螺旋の先に中華街 阪西敦子
餅花の立ちたる枝と垂るる枝 中西亮太
滑り台の終はりの日向三日かな 山岸由佳
庭先へ魑魅ののつそり去年今年 中嶋憲武
きみの眼の今年に去年のぼくのゐる 垂水文弥
ペンギンの列にまぎるる初詣 飯島章友
明けましてじねんじょほりに忌が六つ ちねんひなた
風に散るいつもの歌よ宝船 西村麒麟
もっとがんばる はつなぎ・書かれてこころは何処 おおにしなお
ワンカップセブンイレブン屠蘇気分 雪我狂流
夕べより雪の二日となりにけり 対中いずみ
福藁のゆふべの雨の厚さかな 石地まゆみ
箱根駅伝沿道に歴代の彼女 小川楓子
新年がはじまりますよ葉ずれから なかはられいこ
棚氷かがやく斧をずつと待つ 大塚凱
満月の三日大乱となりしかな 上田信治








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