【中嶋憲武×西原天気の音楽千夜一夜】
ファントムシータ「ホラークイーン」
憲武●長い長い夏休みを取らせて頂いて、明けてみればハロウィンも間近という時節ですね。というわけで、ファントムシータ「ホラークイーン」です。
憲武●はい、この楽曲の作詞、作曲、編曲はボカロP てにをはです。なんていうか、ちょっとクセがありますので、取っ付きにくい人もいるのではないかと推測します。
天気●クセがあるとは、とくだん思いませんでした。サビから入るそのサビは、数年前からよく耳にする「うっせえわ」系の怒ったような歌唱と山口百恵の「プレイバック」を足した感じ。
憲武●まあプロデュースがAdoですからね。
天気●そこから伝統的なアイドル歌謡の歌唱になって、さらに、ラップ処理。よく耳にする成分の合成みたいに聴きました。
憲武●しかし気になって何回も聴いてしまいますし、ヴォーカルがそれぞれいいので、だんだん引き込まれてしまいますよ。
天気●中間部のアイドル歌謡の、この歌い方、起源は中森明菜あたりなんですかね? というふうに聴いてました。興味ないのに。
憲武●うーん、どおでしょー。中森明菜? 「セカンド・ラブ」方向よりは、「少女A」方向の歌唱タイプな感じですね。にしてもその方向は、山口百恵を起源とするものでしょうか。
天気●一種、文化史ですねえ。
憲武●ファントムシータの他のPVを観てますと、懐かしさを感じるものもありますね。それはイメージの創られ方だと思いますが、大林宣彦の「ハウス」や江戸川乱歩などのイメージをうまく取り入れていると感じます。
天気●「ハウス」。観たような気がします。あれからチープさを薄めた感じでしょうか。
憲武●「ハウス」とかそれ以前の16ミリ作品「EMOTION=伝説の午後いつか見たドラキュラ」のイメージですかね。そう、チープな感じなんです。メロディが中近東ふうですので、ファントムシータのシータがアラビアを思い起こさせますが、このシータは蝶と蛾の二つの学名から取られているそうです。だからシンボルイメージが蛾なんですね。
天気●コンセプチュアルなわけですね。
憲武●はい。そうですね。因みにもな推しです。「意気地なし」とか言われてみたいですね。というわけで、1001回までよろしくお願いします。
天気●いや、それは無理でしょ。不死ですか?
(最終回まで、あと552夜)
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