2007-05-06

〔俳誌を読む・番外篇〕俳句積載量 4誌比較

〔俳誌を読む・番外篇〕 
俳句積載量 4誌比較  ……さいばら天気



「週刊俳句」創刊準備号「『俳壇』2007年5月号を読む」で、私は「俳句がいっぱい載っている」という印象を受けた、と書いた。これが『俳壇』誌の特徴なのか、俳句総合誌全般にいえることなのか、その時点では、比較もなく、印象をそのまま書いただけだ。

俳句総合誌(俳句専門誌)には、いったいどれだけの数の俳句が掲載されているのだろう?

で、数えてみた。

カウントのサンプルとしたのは『俳句』『俳句研究』『俳句界』そして『俳壇』の4誌。ほかに『俳句あるふぁ』『俳句四季』があるが、この2誌はB5判とやや大きく(4誌はA5判)薄い。ハードウェアとして4誌とは別の範疇にあるので、4誌の比較とした。また、『俳句』誌のみが4月号なのは、5月号が「飯田龍太追悼特集」を含み増大ページ数となっているため、あえて4月号をサンプルとした。

カウントに含めた「俳句ページ」とは、いわゆる新作発表のページ。一般応募の俳句を掲載したページは含まず、また作家の俳句であっても、1人1句ずつのアンソロジー形式のページ、受賞作からの抜粋なども、これに含まない。

ということで、結果は下記のとおり(表が見にくくて申し訳ありません。クリックすると大きくなります)。


4誌の「俳句積載量」  ※「俳句」は2007年4月号、他3誌は同年5月号
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※(a)10頁あたりの俳人数 (b)10頁あたりの句数 (c)俳人1人あたりの句数
※俳句頁に付した(%)は、総ページに占める俳句ページの割合。









まず、誌面をどれだけ「俳句作品」に割いているかを見よう。「俳句作品掲載頁数」の右、「頁シェア」がそれ。4誌中、最もシェアが高いのは、『俳壇』の37.0%。全ページ(広告等も含む)の4割近くを占める。『俳句界』の「頁シェア」の低さ(13.1%(が目を引くほか、『俳句研究』が意外に高い(29.0%)。

次に、作品として掲載された句数は、『俳壇』が483句と最も多い。『俳句研究』の460句と大差がないように見えるが、10ページあたりの句数(b)で比較すると、『俳句研究』の16.9句に対して、『俳壇』は21.0句。歴然とした差がある。

1誌に載った作家数は『俳壇』が59人と最多。次いで多い『俳句研究』37人の1.6倍にあたり、群を抜くと言っていい数字だ。

「俳人1人あたりの句数」(c)を見ると、『俳壇』が8.2句と最少、『俳句研究』が12.4句で最多となっている。『俳壇』が、俳句作家(俳人)に対して広く薄く、作品発表の場を提供していることがわかる。

以上が、4誌の「俳句積載量」比較の概要である。だから、なに、というのではない。4誌それぞれに、「俳句作品」の掲載のありようは、数字の上で、大きな相違があることがわかった。

そして、私が『俳壇』2007年5月号を読んで感じた「ああ、俳句が多いなあ」という印象は、「気のせい」ではなかったことも確認された。230ページの雑誌をめくって、そのうち85ページに、59人もの俳人の俳句483句が載っているのだ。「多い」と感じて当然と思う。ほらあ、じっさい、多いでしょ?

なお、4誌合わせると、およそ150人、1500句。年間にすると、この12倍。じつに膨大な数字といえる。
 

『俳句界』についても触れておく。俳句作品掲載に割くページ数も句数も作家数も、他3誌と比べ、際立って少ない。この号に限っていえば、『俳壇』とは対照的に、「俳句世間」から広く浅く新作を拾い上げる気はないようだ。

そのかわりに、といっては変だが、巻末40ページ余にわたる結社広告欄に、結社会員の句を4~8句程度、掲載している。どんな句が並ぶかは、広告を出す結社の選択に任されるわけだが、「広く浅く」はこちらでどうぞ、とでも言うようだ。

これもひとつの工夫と思う。仄聞するに、結社中堅から新人の作品掲載については、専門誌編集部が人選するわけではない。「そちらの結社から40代のしかるべき人を」といった打診が行く。人選は結社に任される。全国に数多い結社の中堅やら新人について、編集部が把握できるわけはないので、この手順は妥当なものだ。だが、それならいっそのこと結社広告欄で、というのが『俳句界』の考え方かもしれない。その結果、例えば、今号、小澤實50句を巻頭付近の6ページを費やして掲載、というメリハリのある「作品掲載」が実現されているとしたら、こうした「他誌との差別化」は、読者として歓迎すべきだろう。

1 コメント:

匿名 さんのコメント...

おもしろい調査結果ですね。いろいろな観点からその雑誌の性格が分析出来そうな数値ですね。たとえば、雑誌経営の点から言えば、出来るだけ多くの結社・俳人の句を掲載したほうが、経営上は好ましいだろうとか、掲載俳人を精選しつつ、その句の掲載数を多めにするとか、あまりいろいろ考えずに趣味的な面を強調して紙面作りをするとか、そんな諸種の要素を取り込んだ一誌作りにつとめるとか。