八田木枯 選と選評
※作者名は選評をいただいたのち編集部で付記いたしました(読者の便宜を考慮)。
06 さびしいかたち(越智友亮) 3点
若い人の作品であろう。十句読んだだけではまだ輪郭が浮かんでこないが、言葉を探し求めている態度は歴々と感じられる。
形をととのえることは大事だが、新境地をめざすほうが先決だ。スマートな作の多い現在の俳句情況にまどわされないで、冒険してほしい。
23 白紙(モル) 2点
11 疎遠(澤田和弥) 1点
〔編集部〕
木枯さんのファクスには、句にチェックが入っていました。それを以下に抜きます。
06 さびしいかたち より
初夏の水の味することばかな
古墳から森のにおいやコカコーラ
修司忌の田んぼの上の空が青い
蜘蛛の囲や太陽はさびしいかたち
23 白紙 より
トマト切る指いきいきと数学者
あめんぼの背に夕闇がふれてゐる
無人島宛てに暑中見舞出す
捩花がもう限界と言つてゐる
11 疎遠 より
夕立や駅は戦後のごとく混み
風死してハチ公はまだ待つてゐる
我が脳に水母散乱してをりぬ
正座できぬ人もまじりて宵祭
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