浜いぶき 冬の匂ひ
枕木にわづかなくびれある霜夜
冬萌や米軍基地は囲はれて
帰り花バス降りてゆくひとの老い
暖房や私用電話のひつそりと
枯葉つもりて水のなきプールかな
国道に冬の匂ひのしてをりぬ
ふかぶかと白菜切らる両肩に
星しげし湯豆腐の湯の澄んでをり
アイロンに水足しにけり冬うらら
山眠るけものの目尻濡れてをり
小池康生 起伏
しぐるゝや川面近くに別の風
標識の傾いてゐる帰り花
ひと滑りして渦を巻く落葉かな
引き裂けど落葉は銀杏なるかたち
凩や割箸ぎゆつと圧し込まれ
牡蠣の身に冷たき海の運ばるる
斯くなるもボディコンシャス冬帽子
バス停にマフラー堅く括らるる
石跳びぬ蹴るともなしに冬日向
大枯野起伏を凝らすことしきり
田島健一 白鳥定食
海鼠腸や人は星雲ぞとおもう
鏡中のこがらし妻のなかを雲
白菜が祖母抱きしめて透きとおる
花屋の花はどれもてのひら冬青空
箱買いの蜜柑の隙間ねがいごと
子の言葉殖ゆ綿虫の一大事
顛末の朝のしずけさ寒卵
壺を置く婚前の狩いまはじまる
白鳥定食いつまでも聲かがやくよ
たましいの静かな試食十二月
2007-12-02
第32号 2007-12-2 10句作品 テキスト
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