2008-01-13

林田紀音夫全句集拾読001 野口 裕


林田紀音夫
全句集拾読  野口 裕

001








村木佐紀夫遺句集は、まだ先だろう。しばらくの時間つぶしには大きすぎるが、ぼちぼちと読んでいこう。


 狛犬にそびらの虚空のぞかるる

無季の句としては、一番最初に出てくる。個人的にはもう一つ。


 歳月や傘の雫にとりまかる

こちらの方が好み。


 薄咳のあとの蝗が見当らぬ

わずかの時間差。


 道ばたの何する火かと訊ね得ず

時代背景(昭和22~24年)を考慮に入れると、隣組崩壊後の個人の心象をよく表しているように思う。かつては気軽にたずねることができた。今は個々が生きるのに必死だ。火は懐かしい思いをかき立ててくれるが、たずねても何も返ってこないだろう。

現代はたずねること自体が成立しにくいだろう。句の中で無理にたずねると、擬似村落共同体を呼び寄せる。




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