2009-11-15

後記+プロフィール 134

後記 ● 村田 篠


今日テレビを見ていると、女優の中谷美紀を漢字一文字で表すとしたら、という質問に「俳」という文字が出てきて、いささかドキッとしました。「へえ、中谷美紀という人は案外俳味のある人なのか」などととっさに思ってしまうのは、俳句をやっている人間の滑稽さでしょうか。

中谷さんに冠せられた一文字が、俳句の「俳」ではなく俳優の「俳」だとわかり、あらためて、「俳」という文字について考えました。手許にある角川の『新字源』によれば、人に非ず、と書くこの文字の本来の意味は「一般人と変わったことをして人をおもしろがらせる芸人の意」とされています。中谷さんの場合は、「深く役に入り込む根っからの俳優」であるところが、一般人と大きく違う「異端」の証左ということが言えるでしょうし、正統に対する「たわむれ」「おどけ」の意は、俳諧の成り立ちと深く関わる立ち位置でもあります。

現在、ささやかながら俳句と関わる者として、この一字、ゆっくりと立ち止まって、考えてみたい文字ではあります。

 

さて、今週号も、前衛俳句、虚子、句集らしくない句集etcと、充実のラインナップになりました。さまざまな場、視点からのアプローチを掲載できることは、「週刊俳句」の喜びでもあります。池田澄子さん、吉田悦花さんにご登場いただいた10句作品ともども、どうぞごゆっくりお楽しみ下さい。

 

「落選展2009」も、引きつづきご感想、コメントをいただけましたら幸いです。宜しくお願い申し上げます。

 

ではまた、次の日曜日にお会いしましょう。


no.134/2009-11-15 profile


■池田澄子 いけだ・すみこ
所属・「豈」「船団」。句集・『たましいの話』他。
散文集・『休むに似たり』『あさがや草紙』。

■吉田悦花 よしだ・えつか
千葉県出身。石寒太 に師事。「炎環」編集長。「豆の木」会員。月刊「俳壇」に「吉田悦花のわん句にゃん句歳時記」連載中。「おくのほそ道そば三昧の旅」ナビゲーター。句会 「蕎麦屋de819」主宰。現代俳句協会会員。『ビジュアル版 わん句歳時記』『江戸ソバリエ』ほか著書多数。ブログ http://ameblo.jp/sobalier-etsuka/

■堀本 吟 ほりもと・ぎん
1942 年、犬山市生まれ、松山市育ち、生駒市在住。俳歴20年ほど。「船団」を経て「豈」所属。1970-80年代の俳句ニューウエーブの群像にまき込まれるよ うに短詩形文学の場に入る。この世代からの影響は大きい。現在の新世代も全く異ジャンル、新鮮である。ここ4、5年は川柳と俳句の接点の表情をみることに 腐心した。そこからすこし進んで、現代詩の根拠に定型の問題を措きたいと考えている。著書、評論集『霧くらげ何処へ』(深夜叢書社)。

久留島元 くるしま・はじめ
1985年1月11日生。第四回俳句甲子園出場。塩見恵介に師事。
同志社大学大学院在学。専攻は説話文学。「船団」会員。
blog「曾呂利亭雑記」

■山田露結 やまだ・ろけつ
1967年生まれ、愛知県在住。「銀化」同人。第九回「銀化新人賞」受賞。銀化十周年コンクール「銀翼賞」小澤實賞受賞。ブログ「露結の庭」http://yamadarockets.blog81.fc2.com/

■小池康生 こいけ・やすお
大阪出身大阪在住。「銀化」新人賞受賞。「銀化」同人。俳人協会会員。

■野口 裕 のぐち・ゆたか
1952 年兵庫県尼崎市生まれ。二人誌「五七五定型」(小池正博・野口裕)。2月1日に、第三号を発行。入手希望の方は、 yutakanoguti@mail.goo.ne.jpまで。進呈します。 サイト「野口家のホームページ」

■小川楓子 おがわ・ふうこ
1983年、神奈川県生まれ。「海程」「青山俳句工場」所属。

■小林哲也 こばやし・てつや
1957 年兵庫県伊丹市生まれ。サイト"April in Snow" (現在、更新停止中)、ブログ"豆腐に柳" を細々と運営中。

■村田 篠 むらた・しの
1958年、兵庫県生まれ。2002年、俳句を始める。2003年「魚座」入会。2005年「魚座」新人賞。2006年「魚座」終刊。現在「雲」同人。「月天」会員。俳人協会会員。「Belle Epoque」

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