2010-04-18

句集好き5 『虎刈』寺澤一雄

句集好き 5『虎刈』寺澤一雄





寺澤一雄 てらさわ・かずお

1957年生まれ。「鷹」「岳」「童子」を経て、「恒信風」「晩紅」「雷魚」「天為」所属。

『虎刈』は第一句集。『新撰21』との関連で話題になることの多い牧羊社の処女句集シリーズ全50巻の一冊として、1988年に刊行。5句組70ページのシンプルな造本。

短詩型の、この塗り絵ハイクに堕しやすい形式において、自分流の型を持っているということは、スゴイことだ。これは決して努力なんてナマやさしい世界ではない。みなが着込み、着膨れ、着飾っている句会にいきなり素裸で登場してくる天性の童子というかんじで、型がすなわち一雄になっている畏ろしさだ。(辻桃子「跋」より)

この湾にとびうを満ちてなお寂し
クロールで行きて帰りは平泳
暗いからほんとに眠い花菖蒲
擂鉢に擂粉木ありぬ夏の宿
気持ちよく日焼の腕が二本あり
行水のただのおやぢとなりにけり
鉄道の官舎古びぬ茗荷の子
空港に半日すごす花氷
これは毒茸むかうの山は富士の山
漬物で飯食うてゐる外は雪
雪国は無くならぬほど雪があり
春近しベーコン一枚とつておく
ねんねこや七堂伽藍燃えて無し
なんとなく田螺和へある夕べかな
鳥帰る帰らぬ鳥の顔濡れて
貝寄風や海に届かぬ石投げて

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