2010-09-05

〔傘・創刊前夜祭〕上形智香

〔傘・創刊前夜祭〕
私たちって、そんなに親しかったのかしら

上形智香


越智友亮とはどのような人物なのか、という質問を受けると、とても困る。うまく答えられないのでは、とさえ思ってしまう。だから、この紹介文を書くように頼まれた時も、正気に言ってしまえば、何度も断ってしまおうと思った。だって、何を書けばいいのかわからなかったから。でも、引き受けてしまったんですよ。引き受けてしまった以上、書かなければなりませんね。とりあえず、シャープペンをにぎりながら、ルーズリーフと向き合ってみることにしますか…。私、パソコンができないので。

彼を表す言葉はいろいろあると思うのだけれども、私は「変人」がいちばん近いのではないかと思う。「変人」というと、マイナスなイメージで受けとられるかと思うけれど、決してそのような意味だけで使っているのではないのです。確かに、何を考えているのかわからないような面もありますよ。いえ、ほとんどそんな感じですけれど…。。

エピソードを紹介しないで、彼を変人扱いするのは失礼ですね。ここで、彼の変人っぷりの一場面を紹介しておくことにしましょう。あれは、俳句甲子園でのこと…そういえば、彼と私の出会いは俳句甲子園。運命って、面白いですね。まぁ、今はそんなこと置いておきましょう。彼と関わったのは、高校三年の俳句甲子園でした。一応、前の年からの知り合いでしたけれど。決勝トーナメントの一回戦で対戦して、悔しい思いをしました…はぁ。くねくねとした動きと話し方から、変な人だとは思っていたけども、それ以上に驚いたのは、朝の呼び出し。俳句甲子園最終日、みんながバイバイっていう日の朝に、いきなりの呼び出しですよ。私たちって、そんなに親しかったのかしら、と思いつつ、お話をしました。他愛のない話でしたけれど、とても楽しかったと記憶してます。私、実は結構人見知り激しいのに、自分、こんなに話せるんだってくらい話しました。変人の持つ不思議な力なのかもしれませんね。そんな人なんですよ、彼。

だけれども、その延長からなのか、彼には人が思いつかないようなことを軽々とやってのけてしまうというような面もあります。破天荒、とでも言うのでしょうか。それに、フットワークが軽いので、興味がある場所にはふらりとでかけてしまう。とにかく、行動や考え方が予想できない人物です。

ここまでずらずらと書いてきましたが、彼を知るのにもっとも良いものを紹介するのを忘れていました。彼をもっともよく表しているのは、彼の作る俳句でしょう。思い出したついでに、彼の作った句の中で、私が好きなものをいくつか紹介したいです。

  ひまわりや腕にギブスがあって邪魔
  手を振って駅は無人の金木犀
  ゆず湯の柚子つついて恋を今している

どの句から想像できる情景も、誰もが経験したことがあるような日常生活の一場面ですよね。そのせいでしょうか。彼の句を読むと、句から想像できる世界に引き込まれるような感じを受けてしまうんです。たとえば、「手を振って~」の句。この句を読むと、なんだか私、無人駅のホームにたたずんで、去ってしまった女性の残り香につつまれているような感覚に陥ってしまうんです。一人、物悲しい気分に浸ってしまうのですよ。こんな感じで、いつのまにか、読者が句の中のストーリーに組み込まれてしまうような句を、彼は作っているように思う。感じ方は人それぞれだと思うのですけれど、句と読者をつなげる強い力が彼の句にはあると、私は考えています。

もしあなたが、この紹介文を読んで、少しでも彼に興味を持ったのでしたら、実際に自分で会って、話してみるのがいいんじゃないのかと思います。気さくな人物ですから、来る者は拒まないでしょう。だって、わたし、拒まれなかったもん。うふふ。

あなたも彼の不思議な魅力に触れてみてはいかがでしょうか。

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