2010-12-19

〔週俳11月の俳句を読む〕さいばら天気 血液のゆくえ

〔週俳11月の俳句を読む〕
さいばら天気血液のゆくえ

水売りの売る水の山天の川  久乃代糸

「水売り」は、辞書に「江戸時代、夏に、砂糖・白玉団子を入れた冷水を売り歩いた商売。また、その人。」とあるが、今では水そのものを売っているので、この句の「水の山」は、ペットボトルが山と積まれた状態を、どうしても思い浮かべる。水(ミネラルウォーター)専門の店などあるのかという声があがりそうだが、根津で見たことがある。

「天の川」を水に取り合わせた句は、めずらしくはないが、ちょっとした趣向として安定的には楽しめる。

夜、山なすペットボトルがいくぶん鈍い光を発している。それはもちろん星明かりの反射などではなく、蛍光灯の明かりである。それを齟齬と呼ぶこともできるが、俳句的には「天の川」くらいの嘘はついていいような気がする。


外套の中出てゆかぬ血液よ  同

外套から出てゆくどころか、からだからも出てゆくはずはない血液なのだが、こう詠まれてしまうと、外套と皮膚とが一体化してしまう。外套のなめらかな裏地に張り付くように、血管がめぐっているのだ。


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