2011-02-20

第110号~第119号より すずきみのるさんのオススメ記事

第110号~第119号より
すずきみのるさんのオススメ記事


上田信治「ただごとについて()」  第114号 第115号 第116号

をお薦めします。

本文は、俳句における「ただごと」について、深くそして鋭く考察した一文です。

芭蕉・子規・虚子の作の引用と分析、藤田湘子の「一日十句」の取り組みの意味、さらに波多野爽波の論と実作解析、飯島晴子の印象的なエピソードの紹介に並べて、神野紗希の疑問に答えるという体裁で、「俳句史」という縦の時間軸に「今」という横の時間軸を交えるという構成の妙なども生き、納得しながら読ませる一文となっています。

また、現代美術の出発点に位置する作家デュシャンのオブジェ「泉」を引き合いに出すことで、ただの「便器」が全く新しい「芸術作品」へと変化する要諦を紹介しつつ、本文で筆者の追究する「ただごと」が、単なる「ただごと」の意味内容の解説ではなく、実は俳句における新しい理念の提示に繋がっていることが明確に示されているのも、大変興味深かったです。

評論の重要な働きとして、対象の意味や価値の発見と提示ということがありますが、その機能を充分果たしつつ、さらにそれが創作の意欲まで喚起すると言う点で、文字通り大変「刺激的」な一文でした。



≫既刊号の目次 101-120

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