第80号~第89号より
岡田由季さんのオススメ記事
●三宅やよい 鷹女への旅 第14回 巻貝死すあまたの夢を巻きのこし ≫読む 第88号
週刊俳句が始まった頃には、その即時性とか双方向性といったものに目を奪われていたが、200号ともなると、内容の蓄積もかなりなものになってくる。これだけのコンテンツに索引もついて、検索も可能で、いつでも閲覧できるというのは本当にありがたい。けれど私はどこまでも怠け者なので、いつでも読めるとなると、なかなか過去の記事を改めて読みはしないのである。今回は改めて振り返る機会を与えていただきありがたかった。
80号から89号をまとめて読んで、思ったよりも読み応えがあり、じわじわと沁みる記事が多かった。「そんな日」にしみじみ、「スズキさん」にじんわり、またある回の後記で泣きそうになったり。なかでも切なく胸に迫ったのがこの「鷹女への旅」第14回である。
「鷹女への旅」では、丁寧な取材により鷹女のいろいろな面に光を当てられていて、ゆさはり句会とのかかわりなど、ほっとするようなエピソードも多いが、この前回の第13回では「羊歯地獄」の創作のについて書かれており、俳句形式と立ち向かう鷹女は鬼気迫る様相であるし、その足跡を追う筆者の緊張までもが伝わってくるようで、読んでいるこちらも息が詰まる感であった。
第14回では「羊歯地獄」以降の話となるのだが、緊張の後、緩和では決してないが、不思議な静けさ、穏やかさに満ちている。紹介されている鷹女の俳句も、何か透き通るような感じを得ている。その中で、鷹女と永田耕衣が黙って差し向かいでアイスクリームを食べるシーン、それがなによりも心に残った。
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2011-02-20
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