林田紀音夫全句集拾読 165
野口 裕
消火器を眠らせておく飛行音
蛸壺を積みひそひそと降る日差し
綿菓子の白妙のその裏通り
昭和五十一年、未発表句。変わった素材を取り上げた句が三句連続して出てくる。互いに関連があるようでもない。紀音夫の取り扱う素材は、ごくせまい範囲というのが通り相場だが、本人も多少は意識して素材を拡張する意志があったことの一例とはなる。
句としては、一句目は平凡。二句目は、蛸壺が意外と効果を上げている。三句目、下五でイメージの逆転をねらったと推察するが、やや図式的。どの句も、発表句への展開は今のところ思いつかない。
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2011-05-22
林田紀音夫全句集拾読165 野口裕
Posted by wh at 0:25
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