2011-06-12

【週俳5月の俳句を読む】松野苑子

【週俳5月の俳句を読む】
さんぎょう

松野苑子



好きな句に三行のコメントをつけさせていただきました。
4年前に始めたブログ「俳句の苑」でやっている方法です。
独断と偏見による身勝手なものです。


プールより見られて渡り廊下ゆく  今村豊
 
プールには水着姿の彼女
彼女を見たいのに見られている不条理
渡り廊下はどこからも丸見えなのだ


花過ぎの寒さ捨印押させらる  白井健介

捨印は好きになれない
訂正を予期して押しておくなんて
福島の原発の許可の書類にもきっと押してある


筆先の紙に沈みし朧かな  花尻万博

筆先が沈むように
筆の先から墨がひろがってゆく
にじんだ様子は朧夜のよう


夏空やパンダが飛ぶといふ事実  高橋義邦

パンダでしょうか 
羊でしょうか 海月でしょうか
ああ パンダが雲になったのですね




第210号 2011年5月1日
今村 豊 渡り廊下 10句 ≫読む
第211号 2011年5月8日
白井健介 フクシマ忌 10句 ≫読む
第212号 2011年5月15日
花尻万博 南紀 10句 ≫読む
第213号 2011年5月22日
高崎義邦 ノンジャンル 10句 ≫読む

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