2013-08-11

自由律俳句を読む 6 蜘蛛 馬場古戸暢

自由律俳句を読む 6
蜘蛛

馬場古戸暢


今回は「蜘蛛」にちなんだ句。苦手な方は、ご注意を。

ラストシーンに蜘蛛の降りる  藤井雪兎

自宅のテレビで映画でも見ているのだろう。よりによってちょうどラストシーンのところで、蜘蛛が降りてきた。蜘蛛の方も、タイミングを見計らっていたのかもしれない。ホラー映画を見ており、かつ大きめの蜘蛛が降りてきたのならば、ちょっとした恐怖だろう。

洗い桶に蜘蛛の子下がってきた  南愛蓉

こちらは洗い桶、下がってきたのはどうやら子供の蜘蛛である。洗い場での景だろうか。日々の暮らしの中の何気ない発見を、さらりと読み込んだ。


以上二句は、おそらくは屋内での景を詠んだものだった。屋外ではまた違った趣を、蜘蛛はつくりだす。

蜘蛛の巣のかたちになって雪  清水水娥

前回紹介した「蜘蛛の巣に桜一片」の句は春の蜘蛛の巣を詠んだものだが、掲句は冬の蜘蛛の巣である。きれいな巣となったことで、案外蜘蛛もよろこんでいるのかもしれない。いや、それはないか。


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