自由律俳句を読む 6
蜘蛛
馬場古戸暢
蜘蛛
馬場古戸暢
ラストシーンに蜘蛛の降りる 藤井雪兎
自宅のテレビで映画でも見ているのだろう。よりによってちょうどラストシーンのところで、蜘蛛が降りてきた。蜘蛛の方も、タイミングを見計らっていたのかもしれない。ホラー映画を見ており、かつ大きめの蜘蛛が降りてきたのならば、ちょっとした恐怖だろう。
洗い桶に蜘蛛の子下がってきた 南愛蓉
こちらは洗い桶、下がってきたのはどうやら子供の蜘蛛である。洗い場での景だろうか。日々の暮らしの中の何気ない発見を、さらりと読み込んだ。
以上二句は、おそらくは屋内での景を詠んだものだった。屋外ではまた違った趣を、蜘蛛はつくりだす。
蜘蛛の巣のかたちになって雪 清水水娥
前回紹介した「蜘蛛の巣に桜一片」の句は春の蜘蛛の巣を詠んだものだが、掲句は冬の蜘蛛の巣である。きれいな巣となったことで、案外蜘蛛もよろこんでいるのかもしれない。いや、それはないか。
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