2015-08-16

〔今週号の表紙〕第434号 硫酸の壺 山中西放

〔今週号の表紙〕
第434号 硫酸の壺

山中西放


第1回京都博、京都岡崎公園は平安神宮を中心として美術館二館・図書館・動物園など文化施設が整って居り、「都メッセ」は京都の文化交流の中心として新たな賑わいを見せて久しい。その掘り込んだ中庭にこの壺々がオブジェとて林立し壁面ガラスを滑る人工滝の前に立ち並ぶ。高さ1m前後、容はさまざまである。使われなくなって久しい硫・硝酸壺である。正式には「耐酸化学陶磁器」。壺の口が一つや三つ不思議な形である。工業用のみで無く、第2次大戦の戦争必需品としての硫酸や硝酸を運ぶ用器として作られた。

それらが人工滝の前にまるで禊のように林立し、滝の裏面のガラス窓からは消し去れぬ戦争の懺悔がひしひしと伝わって来る。

現代俳句データベースに次の俳句がある。

  冬の海越す硫酸の壺並ぶ 谷野予志

  来る冬を信じるくらがりの硫酸列車 上野章

陰りめく憲法九条、再び誰が為に終りなき世界の戦場へ日本の若者が駆り立てられるのだろう。壺の懺悔は終わらない。



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