【俳人インタビュー】
岡田一実さんへの10の質問
質問:西原天気
1句です。小望月が美しすぎたので1句だけ作りました。
Q2 きょう、朝起きてから2~3時間の行動をできるだけ詳しく(公表できる範囲で)教えてください。
4時に目覚めて夫のマイマイ君と朝御飯を食べました。マイマイ君を見送って、もう一度ベッドに入りました。
夢を見ました。4年前、突然循環器不全でなくなってしまった兄の夢です。
兄はありったけの鉢植えを持ってきて寝ている私の上に並べました。
兄が水をやったり鉢植えの世話を焼いたりすると鉢植えの蔓がどんどん伸びて外の塀に絡みつき薄黄色の小さい花が咲きました。兄と私は微笑みました。
そこで目が覚めました。
Q3 現在お住まいの町は、どんなところですか?
地方都市のふつうの町です。
近くに駅があってスターバックスがあって、という感じです。
町といえば今住んでいるマンションは町のようです。
およそ100世帯、本当にいろいろな人が住んでいて、エレベーターで会うと挨拶します。
夕方、ベランダに出ると縦笛の練習している音などが聞こえたり、煮物の匂いがしてきたりして「町だな」と実感します。
Q4 触り心地が好きなものってありますか?
福田若之さんの第二句集『二つ折りにされた二枚の紙と二つの留め金からなる一冊の蝶』(私家版、2017年)の紙質がとてもとても好きです。
名刺入れに常時入れているのですが、たまに出して触っています(気持ち悪いですね、すみません)。 ーーいいえ。気持ち悪くなんかないですよ。
すごくいいかんじのぬめり感。素晴らしいです。
Q5 このたび第三句集『記憶における沼とその他の在処』を上梓されました。長いタイトル(素敵です)には略称があったほうがいいと思います。どう略しましょう?
「記憶沼」でよろしくお願いいたします。
テキスト保存するときも「記憶沼」にしていて、愛着もあるのに、結局長いタイトルの方にしてしまいました。
Q6 句集をつくっていくなかでいちばん苦労したことを教えてください。
他選をしていただいて、100句ほど削ったり推敲し直したりしたことです。自分以外のご意見を理解しつつ、本当にやりたいことは突き進める、そのバランスが大変でした。
初案よりすっきりしたものができて本当に感謝しています。
Q7 『記憶における沼とその他の在処』の刊行後、身辺に変化はありましたか?
刊行後、しばらく眠りにくくなりました。
深夜2時に寝付いて2時半に目がさめたり、とか。
よくわからないプレッシャーを一日中感じていて絶不調でした。
そうするとマイマイ君が積極的に御飯を作ってくれて、お皿を洗ってくれるようになりました。普段でも家事の協力はよくしてくれる方でしたが、この時期は特に積極的に協力してくれました。
丁度マイマイ君は『孤独のグルメseason7』の韓国編に影響されて、こまごまとした副菜作りに凝っていました。
とても有り難かったです。
今は復調してきて、まあまあ眠れてご飯も作れるようになってきました。
Q8 どういうわけか、雄鶏を飼うことになりました。なんて名前を付けますか? 命名の由来も教えてください。
「トリー」ですね。呼びやすいのが一番です。犬だったら「イヌー」にします。
Q9 目が覚めました。何十時間も眠ってしまったらしく、おなかがぺこぺこです。何を食べますか。
絶対白いご飯が食べたいです。でも炊くには時間がかかるので冷凍御飯を電子レンジで温めて食べたいです。600wで4分。京都のちりめん山椒などあればなお良いです。
Q10 好きな自然現象について、教えてください。
雨です。
気圧が低いとしんどいですが、部屋を暗くして雨音をただ聴いているのは好きです。
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岡田一実『記憶における沼とその他の在処』より十句:西原天気謹撰
蟻の上をのぼりて蟻や百合の中
裸木になりつつある木その他の木
蟬歩く破船を陸にうち捨てて
天頂の揺らぎの中をかはほり来
熟田津の今は月待つ陸(くが)の栄(はえ)
白き象白き日永を遊びけり
セーターの雨粒はらふ手の雨粒
三鬼忌の明けて朝なるバーにゐる
魚焼けば皮に火の乗る暮春かな
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