2018-09-30

中嶋憲武✕西原天気の音楽千夜一夜 きのこ帝国「金木犀の夜」

中嶋憲武✕西原天気の音楽千夜一夜
きのこ帝国「金木犀の夜」


天気●この『週刊俳句』はいちおう俳句のウェブマガジンなので、たまにはそれらしく、きのこ帝国というバンドの「金木犀の夜」。秋の季語が2つ入っています。

憲武●おお!豪華。


天気●新しい曲らしいです。というのは、このバンドのこと、知らなくて、あるときラジオから流れてきたんです。

憲武●いま初めて聴きました。イントロの高音のアルペジオは、スピッツの「ロビンソン」風ではあります。

天気●最近の日本のバンドには、イントロで雰囲気をつくってしまうのが巧いバンドが多くて、これもそうですね。

憲武●●全体の曲調はポリスの「every breath you take 」でしょうか。

天気●似てるかどうか、ちょっとわかんないですが、あれ、よく出来た良い曲ですね。ところで。出だしの歌詞、「だいたい夜はちょっと感傷的になって」。憲武さんは、そんなこと、ありますか?

憲武●この季節になると、不思議と夜に歩きたくなるんですが、マンションとかアパートの窓を見るでもなく見たりすると、感傷的になったりしますかね。車窓から、夜の窓を見てるのが好きです。

天気●和音やメロディのことを言うと、4度はふつうメジャーコードを使うんですが、そこからマイナーへ移行する。3度はまず通常のマイナーコードを聞かしておいてからメジャーコードを印象的に持ってくる。これが半音の感傷的なメロディーを引き出してるみたいです。歌詞で言うと、Aメロの2度目の最後、「思い出そうとしてみる」の後半とか、サビの「あの頃のふたり」の「頃」とかですね。よくわからずにしゃべってますが、間違ってたら、誰か指摘してくれるでしょう。

憲武●ググってみましたが、「あの頃のふたりは」のコード進行は、D→F#→Bm→Gで、「電話番号を思い出そうとしてみる」のコード進行は、Bm→G→Gmです。

天気●ああ、そのF#が3度メジャー、Gmが4度マイナーです。

憲武●なるほど。

天気●コード進行に凝って、メロディアスなのは、このところの日本のヒットソングの特徴だそうです。米国なんかはもっとシンプル。少し前の大ヒット「Happy」はほぼワンコード。まあ、これはR&Bっぽくてとかジャンルが違うんですけどね。


(最終回まで、あと932夜) 
(次回は中嶋憲武の推薦曲)

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