2008-03-02

第2回 週刊俳句賞 読者投票ボード

第2回 週刊俳句賞
読者投票ボード (投票期間:~3月31日)

選考メイン会場(22作品掲載)へ戻る


※応募者は、ここに投票しないでください。メールによる互選となります。

下の「コメントを投稿」の文字(薄緑色)をクリックすると書き込みの窓が出てきます。 22作品を読んで、いちばん良いと思った作品名を、通し番号とともに記してください。 選評その他、なんでも御自由にどうぞ。 署名をお願いいたします。ハンドルネーム(HN)でもかまいません。匿名は避けてください。

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41 comments:

匿名 さんのコメント...

読者投票

「07 気分はもう戦争」

投稿作品全体についての印象は、拙い作はなかったけれど、飛び抜けた作もなかった、というところ。タイトルの付け方は、「07」(同名のマンガがあったのでは?それを狙ったのだろうか)も含め、もうちょっと考えた方が良いのでは、と思う。一人の中で、良いなと思える作と、これはどうかという作が混在していて、選に迷いました。個人的な好みだけで押していけば、他に選びたい作もありましたが、やんちゃなようでいて、結構手練れの作者でありそうな、「07」を選ばせていただきました。現在の学生俳句のレベルが伺えるようで、大変面白い企画でした。(MINORU)

匿名 さんのコメント...

03 life

楽しく拝見いたしました。

婚礼の胸を花野と思ひけり
耳に耳触るる寒椿のやうに
カラオケに来て泣いてゐる卒業子

などの句が好きでした。

匿名 さんのコメント...

「10 ぽろぽろと」の作品がこれといって変な句がなかったので投票させていただきました。その中でも

蝶の眼の中でわたしが裏返る

の句が好きだったです。

匿名 さんのコメント...

10 ぽろぽろと

全体として好みの句が多いので。とくにあとの方の5句が好みでした。

匿名 さんのコメント...

17 多孔質

点数をつけながら22作品を読みました。
その結果、「多孔質」を私としては最高点といたしました。

 胸骨のうらを涼しき牛のちち

これはなかなかの佳句と思います。
全体に「×」のつく句が無かったのはこの作品群だけでした。

匿名 さんのコメント...

04 異邦人 に投票します。

大きな景色を日常の欠片や夢にのびやかに映していてとても素敵だと思いました。


湖に水足す銀の如雨露かな
粉雪を食う全身を空にして
西瓜畑隠れん坊の息消える
好きな子の跡をつければ遠花火
ケータイを落とす花畑の底に
稲光吸い込んでゆく枕かな

------------------------------

01 屋根の 

夕ぐれの明るさの瓜冷やしけり

この一句はとても魅かれました。

匿名 さんのコメント...

「04 異邦人」に一票投じます。

他の方々の作品にも、魅力的な句は数多くありましたが、10句統一してのバランスのよさという意味では、この作品が一番のように感じました。
好きな句を挙げさせていただきます。

湖に水足す銀の如雨露かな

粉雪を食う全身を空にして

西瓜畑隠れん坊の息消える

ケータイを落とす花畑の底に

異邦人の街へと続く夜店かな

匿名 さんのコメント...

16昼の月

一抹の水を抱ける芒かな
海岸に白き車や春浅し
春暁の鏡の裏の温みかな
?梅や蛇口に残る一雫
雨傘を乾かしてゐる春の宵
コンタクトレンズにあふれ春の水

好きでした☆-(^^)v

匿名 さんのコメント...

13 青

繰り返し読むほどに作者の声、顔、着ている服、好きな本
と人となりが立ち現れてくるようでした。伝統的な素直な
句でありながら詩の一形態としての俳句の可能性が感じられます。僕はこんな自然な感情で詠めないので、なんか、うらやましいです。

匿名 さんのコメント...

「22 傘のうら」

読んですんなり景が見え、女性らしい素直さに惹かれました。

淡雪や展望室の仄暗し

傘のうら色やはらかき春の雨

卒業の紅きスカーフほどきけり

特に好きな句でした。

匿名 さんのコメント...

07 気分はもう戦争

 一作を選ぶとすると、220句の中の特選一句にしようと思いました。どんなに他の9句が悪くとも関係なし。

候補は、

03 手袋の指抽斗にはさむなり
07 焼跡より出てくるテスト全部満点
16 春暁の鏡の裏の温みかな
17 いつせいに埴輪の歌いだす良夜
20 赤んぼう警戒しつつ手になずな

となり、03や17の方が取れる句は多いのですが、07にします。
 理由は句の中にある批評精神、ではありません。批評までは届いていないでしょう。しかし、笑わせる。これは貴重です。
 ドタバタで笑わせるのはほんのちょっとの狂いで笑いが取れない、と聞きます。07の他の句も笑えません。
 奇跡的に焼跡の句はぴたりとはまりました。

匿名 さんのコメント...

面白い試み。
どれも俳句として遜色はないが、
確かに飛び抜けた作がなく、好意的に言えば全体に落ち着いた印象。別の言い方をすれば、季語の範疇を出ず、文体も平凡。正確に作りつつ、我はこうである、と主張している作品が多く見られた。

全体の構成、冒頭の句、三句目までで与える印象、四句目からの転換、練られているものが少ない中で注目したのは以下の3作。

16 昼の月
17 多孔質
21 心の底

しかし、どれか一つというと・・・、
今回は該当作なし、と。

 

匿名 さんのコメント...

「07  気分はもう戦争」

マンガやゲームの世界からの作品かと思いますが、なぜか本物の戦争の記憶や現実と交錯しています。笑わせるような表現が、むしろ恐さ・哀しさの裏返しのようです。結句、全世界の本当の終戦を得て、また読みたいですね。

あと、素敵だと思った句。
   01・夕ぐれの明るさの瓜冷やしけり
   04・湖に水足す銀の如雨露かな

五百石 さんのコメント...

「04 異邦人」を推します。
後先のことを考えず、眼前の気になる対象へのめりこんで行く・・・それは「猶予された夢の時間」ではあっても、そう誰でも素直に入っていけるものでもなさそうだ。おそらく、作者は体質的に詩的なものに反応する人なのかもしれない。作句すべてに、その長所が刷り込まれていて、読後なにかほのぼのとした気分にされてしまった。これから田中裕明さんを意識して、作句に励んでいただきたいと思います。

匿名 さんのコメント...

「06 海鳴り」に1票。

水鳥の声やタクシー休憩中
クレームの電話アロエの花盛り
卒業の朝の新聞読みにけり

が、好きな句。とくに卒業の句が好きです。
タイトルの句はあまり好みではなかったですが。

他に惹かれた句

03 婚礼の胸を花野と思ひけり
04 稲光吸い込んでゆく枕かな
22 傘のうらの色やはらかき春の雨

匿名 さんのコメント...

「15 四季」

楽しく拝見いたしました。
「15 四季」は、とても季節感がでていて
素敵な言葉で表現されていました。

匿名 さんのコメント...

「07 気分はもう戦争」

季語に打ち勝ち、矢作/大友コンビにやられたか。ま、でも、あのタイトルは秀逸だものなあ。誰しも引っかかる。とあれ、二十二作中、群を抜いた造形力。力作です。誰しも三鬼を想うだろうが、九句目「焼跡より出てくるテスト全部満点」は見事。『寺島町奇譚』の三月十日最終話を思いだした。現代のコソボ、アフガニスタン、イラクにも通じる普遍性を持ち、一見お笑いのようで、笑えない。俳句という短詩のポテンシャルをおおいに発揮した。(祐天寺)

開戦ぞ身近な猿の後頭部
ひろびろと乾くや印刷用の烏賊
焼跡より出てくるテスト全部満点
終戦やリプトン紅茶永遠に

匿名 さんのコメント...

15四季

四季の移り変わりの中でユーモラスな句、ホット気持の安らぐ句、そして悲しくなるぐらいの厳しさをうまく表現できている作品ですね。
作者の感情が四季のひとつひとつに乗り移っている感じがよく出ています。
特に
「東雲に冴え吹く疾風身に刺され」
これは冬の寒さ、厳しさがうまく表現されていますね。
「窓辺より足跡たどる冬日和」
これは柔らかな冬の一日が目に浮かぶ句ですね。

KS

匿名 さんのコメント...

 03 life

 一つも嫌な句が交じっていませんでした。
 それだけで、稀有なことです。
 大きな才能を感じます。
 断然、他を引き離して1位だと思います。

匿名 さんのコメント...

03 life に一票。

ほんとに大学生かなぁと思えるほどお上手でした。若くして俳句ができる幸不幸はあると思いますががんばってください。
                  

匿名 さんのコメント...

09ハーモニカ
に一票。
全体的に春を待つ風情が感じられて共感を覚えました。

一句賞(というのは無いのですが)は、
いつせいに埴輪の歌いだす良夜(17多孔質)

匿名 さんのコメント...

16 昼の月 に一票。

冬凪やうすく華やぐ三角州
結氷をまだ見ぬ水辺にて遊ぶ
受刑者の横一列やクリスマス
コンタクトレンズにあふれ春の水

が特に好き。

静かな景色の句で、全作品の中で一番、作者の主張を出さない作品のように思った。タイトルもそんな感じだし。「大学生選手権」としては老練かなぁとも思うが、10句全体の色合いというか雰囲気が一番好きだったので。

他の作品で好きな句

03 頬杖も人それぞれや大試験
06 母は庭に夢を隠している二月
07 焼跡より出てくるテスト全部満点
13 菜の花は踏まないで手の鳴る方へ
17 春宵の爪はぬぬぬと伸びゆけり
22 踏青や髪上げてより鬼となる

匿名 さんのコメント...

09 ハーモニカ に一票。

春の風ハーモニカには穴の列
残る鴨ボート置き場のごちやとして
カーテンの波うちぎはへ春の雪

10句を通してのしみじみとした気分に魅力を感じました。邪魔になるような句がありませんでした。


03 life と迷いました。

匿名 さんのコメント...

07気分はもう戦争 に一票。



ひろびろと乾くや印刷用の烏賊

戦場を先づくちびるがもげてゆき

焼跡より出てくるテスト全部満点

民也 さんのコメント...

03「Life」を選びました。

投票する理由。
1.詩的な言葉・表現方法に寄らずに俳句を詠んでいる姿勢に、俳句作家としての確かな手応えを感じたから。

2.客観的に物事を見る、という句作以前の基本姿勢がしっかり立っていると見えたから。

3.どの句にも一言言いたくなるものがあったから。

個々の句について。

  婚礼の胸を花野と思ひけり

どなたの婚礼なのか、によって読みが違ってくる句ですね。ただ、「花野」を思ったというだけでは「花野」が季語として生きてこないので、下五は「なりにけり」とか、もっとずばっと断定して切れても良いかと思いました。

  かりがねや背中で閉まる自動ドア

読んだ瞬間、背中に背負った自動ドアが閉まる映像を、思い浮かべてしまいました。
おんぶした自動ドアが開閉する絵、も楽しいですが、多分そういうことではないのでしょうから、「背中」を「背後」に代えたほうがいいです。取り合わせ部分の「背中」と「自動ドア」の、どちらを句の主格にしたいのか、もう一度考えてみて下さい。
句自体は、「背中」の主が今、建物に入っていくのか、出ていくのか、その読みの違いによって、句のイメージ、季語「かりがね」の捉え方も多様に変化する、奥行きのある句だと思います。

  耳に耳触るる寒椿のように

一句中に人物が二人(以上)出てくると、それだけで読者の空想は働くというもの。「耳」の持ち主を人間に限定しなければ、さらにさらに句の世界は膨らみます。
省略の利いた、割れないゴム風船のような素敵な句です。

  手の中の鍵のつめたき吹雪かな

季語の「冷たし」と「吹雪」の季重なりが成功しているとは思えないので、まだ推敲の余地があります。「吹雪」だけで、実景の吹雪と、鍵のつめたさと、心理的な冷えを同時に表現することは、俳句なら可能だと思います。ちなみに、自分は「鍵のつめたき」を「鍵の芯まで」と変えて読んだら、すっきりしました。

  恥づかしささびしさぬるき懐炉揉む

これは照れ隠しの句でしょうか。
一読後、「ぬるき」という表現にひっかかったのですが、句の主役が今置かれている状況のちぐはぐな「ぬる」さを、この句は言いたいのではないかと感じました。ここは「冷えた懐炉」「冷めた懐炉」等では駄目なのでしょうね、「ぬるき懐炉」じゃないと。「懐炉」の前に切れがあるようにも受け止めました。

  手袋の指抽斗にはさむなり

今までに手袋を嵌めたまま、指を抽斗に挟んだことがあったっけ? と自分の過去を振り返ってしまいました。たぶん違いますね。おそらく、仕舞おうとした手袋の指が抽斗からはみ出てしまった、ということなのでしょう。
仕方ないので、もう一度抽斗を開けて、手袋を奥に押し込んで閉めると、またも手袋の端は抽斗からはみ出すのです。すでにモノで溢れ返っている抽斗なのでしょうね、きっと。主人公のため息が聞こえてきますよ。
これも省略の利いた、秀逸な句です。

  バレンタインデーの鞄の底に鋲

バレンタインデーの日に(も?)鞄に画鋲を入れられてしまったのでしょうか? あるいは、クラス(職場)の男どもに義理チョコを配り終わったら鞄がからっぽになって、鞄を覗いてみたら、底の鋲の頭が丸見えだった、ということかもしれません。
読者の実体験によっては、印象の変わる句ですね。

  頬杖も人それぞれや大試験

会場に居た人なら誰でも気付きそうな内容で終わっているのが残念です。こんな時は、会場で一番印象深かった人物一人に絞って、描写してみるのもいいかもしれません。そうすれば、季語「大試験」とうまく響くような句ができるのではないかと思います。誰か居たはずですよ、こちらの意識に入りこんでくる、ヘンな受験生がね。

  春宵の花屋に寄らず帰りけり

帰り道、花屋に寄る予定があったのに。寄りたくなかった? 寄れなくなってしまった? 花屋のことさえも覚えていなかった?
この句はなんとなく、一句目の「婚礼の胸を花野と思ひけり」の前日譚のような雰囲気をも感じさせます。
あたかも映画のターニング・ポイントのシーンを取り出したような、緊迫感を覚える句となっていますね。

  カラオケに来て泣いてゐる卒業子

この「卒業子」は、グループで来て泣いているのでしょうか。それとも、独りきりで来て泣いているのでしょうか。卒業式では泣かなかったのに、今頃泣いているのは、なぜなのでしょう? これもなかなかミステリアスな句です。
ただ惜しいのは、「泣いてゐる」のが「卒業子」であるというのが、付き過ぎに感じられるところ。「卒業子」がカラオケルームで泣きながら何をし、あるいは何をしなかったのか、その辺りをもっと具体的に描写してみてはどうでしょうか。、<泣く>、<涙>を使わずに、読者に「泣いてゐる」ことを想像させてこその俳句の「卒業子」だと思います。

以上をもって、「Life」の作者のこれからに、一票投じます。

匿名 さんのコメント...

「09.ハーモニカ」に一票。

  教会の影梅の木にかかりたる

ゴッホの「オーヴェールの教会」の深海のような空と歪んだ教会の影と、浮世絵のような白梅が見えます。
また、

  爛春の物みな顔にみえし日よ

には、若い日の自己アイデンティティの不安さも垣間見えて、俺が俺がの騒々しい句が多い中で、ここまで若さと静かに対峙出来るまなざしは貴重です。
表題となった、

  春の風ハーモニカには穴の列

は、俳人は何かと針の穴やボタンの穴や地面の穴を詠みたがるので、作者は俳人の資質大いにありです。
波多野爽波の「多作多捨」と「多読他億」を倦むことなく繰り返せば、いつしか自由闊達の世界へ辿り着くでしょう。

他に、印象に残ったのは、

  04.異邦人
  13.青
  01.屋 根

の3作品で、「04.異邦人」は

  ひまわりのみな孤独なるアラベスク

といった象徴的な詠み方を捨てれば、

  湖に水足す銀の如雨露かな

といった直截的な詠み方で、作者独自の世界をひろげられるでしょう。

「13.青」は、

  何もかも恐ろし川を行く子猫
  略奪愛未遂のままか猫の恋

といったどうしようもない主観句(臭いのでスカン句とわたくしは呼びますが)もありますが、

  ゆったりと曲がる二車線春の闇

といった春の夜の湾岸道路のナイトクルージングを思わせる気持のいい句もありますし、

  菜の花は踏まないで手の鳴る方へ

といった目隠し鬼を導くような面白い句もあるので、どんどん詠んでどんどん捨てることで感性を研ぎ澄ませば、スカン句は減るでしょう。

「01.屋 根」は、

  夕ぐれの明るさの瓜冷やしけり

が、実に真桑瓜のうまそうな香りや味わいを伝えていて素晴らしい。誰もが第一級の俳人になれるわけではないのですが、誰でも第一級の作品が詠めるということを、この句は証明しています。

匿名 さんのコメント...

10 ぽろぽろと

「うずまき管」「蛸の吸盤」「つけまつげ」「頭蓋骨」「蝶の眼」「人間の頭」「魚の歯」といった体の一部がちりばめられていて、不思議な雰囲気をかもしている。特に、
水槽に蛸の吸盤春の月
蝶の眼の中でわたしが裏返る
人間の頭重たき遅日かな
春愁トイレに青き水流れ
春の夕暮れ砂場から魚の歯
の5句に心惹かれた。

匿名 さんのコメント...

22 傘のうら をいただきます。

 10句の印象として、色のイメージがふんだんにあると思います。理がつくともったいないと思う句もありますが、以下の句に惹かれました。

 鉄骨の組み上がりけり木の芽吹く
 蒲公英にあるひとすぢの真空よ
 傘のうらの色やはらかき春の雨


 03 life は学生時代にしか詠めない句の内容で良かったと思います。
俳句を詠まない同世代にも好印象なのではないでしょうか。次点。

 01 屋根 
 04 異邦人 
 09 ハーモニカ は手堅い句が多かったです。
 16 昼の月 はどきっとする句が多かったです。今が冬ならもっと良かったと思います。
 
 全体を通して、じゅうぶん楽しませていただきました。ありがとうございました。

匿名 さんのコメント...

10 ぽろぽろと 

09,16と迷いました。十句としてのまとまりやうまさでは、09、16だと思いましたが、今回は大学生大会なので、気になる句が多い作品を選びました。

好きだったのは、

春の私うずまき管をふたつ持つ
水槽に蛸の吸盤春の月
蝶の眼の中でわたしが裏返る
人間の頭重たき遅日かな
春の夕暮れ砂場から魚の歯


他の作品の、好きな句です。

01 夕ぐれの明るさの瓜冷やしけり
03 婚礼の胸を花野と思ひけり
04 湖に水足す銀の如雨露かな
07 焼跡より出てくるテスト全部満点
09 爛春の物みな顔にみえし日よ
16 コンタクトレンズにあふれ春の水
17 胸骨のうらを涼しき牛のちち

匿名 さんのコメント...

03 life

十句の置き方も含め、全体に学生時代の目線で気負いのなかった「03 life」に投票します。狙った感のある「07 気分はもう戦争」も好きでしたが。

婚礼の胸を花野と思ひけり
かりがねや背中で閉まる自動ドア
手袋の指抽斗にはさむなり
カラオケに来て泣いてゐる卒業子

応募作品の中で、魅せられたのは次の三句です。

01 夕ぐれの明るさの瓜冷やしけり
07 焼跡より出てくるテスト全部満点
17 胸骨のうらを涼しき牛のちち

匿名 さんのコメント...

「07 気分はもう戦争」

一句目「ぞ」二句目のいきなりの字足らず、烏賊や屏風という季語的な言葉の選択、「赤づきん」の不謹慎なリフレイン、「リプトン紅茶」の卑小化。確信犯的に行われるタブーの侵犯の数々が、結果的に批評として成立する。
平明で優しい作品は、確かに気持ちが良い。見たいものを見せてくれます。でも、見たくないけれど見なくてはいけないものを見せてくれる作品もまた、同じように大切にされてほしいと思います。

匿名 さんのコメント...

07 気分はもう戦争

上手い人より、今後変なことをどんどんやってくれそうな人を選びたいと思います。
「彫りし/彫り師」「防空づきん/赤づきん」という気持ちの悪い繰り返し、「ミサイル/雌犬」の微妙なライムの踏み方。良い。
この作者はいじめてあげた方が伸びるような気がする。でも選んじゃう。ごめんなさい。

ひろびろと乾くや印刷用の烏賊

が好きです。

匿名 さんのコメント...

13.「青」

脳内変換をされてない言葉の
まだ磨ききれない荒々しさに好感が持てる。

・かすみ草まあるく咲いて雨の音
・香るもの多くてバレンタインデー
などは一句としてきっちり立っている。

全体を通しての甘さは愛嬌というべきだろう
末恐ろしい作者になるのかどうかは
不明だが。。。




他に
01 「屋 根」の
・夕ぐれの明るさの瓜冷やしけり
には 一句としての力に驚かされた。

匿名 さんのコメント...

17番 多孔質。

 モチベーションがユニーク、変わった見方を直に表現している、自在に動く感性をねじふせようとして、いろんな方法を試そうとしている、無季もあり、気重なりなり、もある。
未完成のまま、一種の談林的な奇想をまもろうとしている、「形式」を手に入れたらスケールの大きい句短詩型作品を見せてくれるのではないだろうか?
多孔質の友よしつかり憎め憎め
 これは、短詩、無季句であり

大根の切りくち乾きゆくを見ゆ

 これなどはいい写生句だし、色々あって面白い、
 基調となっているブラックユーモアをそれとして定型詩化する模索は、やりがいあるはずだ。

他の作品群はわるくないが、きまりきっていて既視感がつよい、若いんだから、もっとはみ出せ、といいたい。

匿名 さんのコメント...

10「ぽろぽろと」

 を支持します。
 好きな句が一番多く。
 好みではない句にも面白い物がありました。

上田信治 さんのコメント...

10ぽろぽろと に一票。
水槽に蛸の吸盤春の月
春愁トイレに青き水流れ
春の夕暮れ砂場から魚の歯


選ぶというのは、難しいですね。
読者投票に、参加してくださったみなさま、ありがとうございます。

ランダムに好きな句をあげると。

18来歴否認
正体は流浪の王子いぬふぐり

17多孔質
多孔質の友よしつかり憎め憎め

16昼の月
雨傘を乾かしてゐる春の宵

11 大 和
あの変な屋根は教会日足伸ぶ

09ハーモニカ
教会の影梅の木にかかりたる

07気分はもう戦争
ひろびろと乾くや印刷用の烏賊

03 life
手袋の指抽斗にはさむなり

01屋 根
夕ぐれの明るさの瓜冷やしけり

匿名 さんのコメント...

「ぽろぽろと」に一票。

  蝶の眼の中でわたしが裏返る

 蝶の眼の中なのが、きれい。

  春愁トイレに青き水流れ
  春の夕暮れの砂場から魚の歯

 こう、変なところを切り取ってくるところも好きです。
 魚の歯には不思議な感覚も。

好きな句
  新涼や死にゆく祖父と話題がない
  菜の花は踏まないで手の鳴る方へ
  ひろびろと乾くや印刷用の烏賊

 一句だけならば、ひろびろとの句が一番すきでした。
 印刷用の烏賊って、出てこない。すごい。

匿名 さんのコメント...

楽しく拝読いたしました。

まず「いいなあ」と思う句を抜きました。


01 屋 根

夕ぐれの明るさの瓜冷やしけり


03 life

かりがねや背中で閉まる自動ドア

手袋の指抽斗にはさむなり


04 異邦人

暖房車ふと重くなる文庫本

湖に水足す銀の如雨露かな

稲光吸い込んでゆく枕かな


07 気分はもう戦争

開戦ぞ身近な猿の後頭部

ひろびろと乾くや印刷用の烏賊

屏風もて運ぶ草生す屍かな

上空やミサイルは雌犬となりぬ

焼跡より出てくるテスト全部満点

終戦やリプトン紅茶永遠に


09 ハーモニカ

図書館の窓あをあをと春休み

残る鴨ボート置き場のごちやとして

カーテンの波うちぎはへ春の雪

尻のせてふかき座椅子や百千鳥


10 ぽろぽろと

水槽に蛸の吸盤春の月

ぽろぽろと梅が咲く日のつけまつげ

春の夕暮れ砂場から魚の歯


11 大 和

あの変な屋根は教会日足伸ぶ

春の山白い風車は発電中


16 昼の月

冬凪やうすく華やぐ三角州

東より流るる川や雪しんしん

一抹の水を抱ける芒かな

春暁の鏡の裏の温みかな


17 多孔質

胸骨のうらを涼しき牛のちち

神の名は多すぎないか秋の蝉


18 来歴否認

トンネルを脱ければ雪の降らぬ国


22 傘のうら

蒲公英にあるひとすぢの真空よ

傘のうらの色やはらかき春の雨


以上11作品を残しました。
判断基準は加点方式です(いいと思う句があった作品をまず自分の前に並べてみる)。そのなかから、10句全体の雰囲気で次の5作品に絞りました。


04 異邦人
07 気分はもう戦争
09 ハーモニカ
10 ぽろぽろと
16 昼の月

「04 異邦人」は事物や言葉へのスタンスに爽やかさがあり、気持ちと理知のバランスがいいと思いました。

「07 気分はもう戦争」は、魅力的です。一読しての時点では、あまり興味を引かれませんでしたが、読むうちに惹かれました。タイトルにはこだわらないほうですが、「気分は~」の部分に「逃げ」や「てらい」「エクスキューズ」を感じ、私は少し×。

「09 ハーモニカ」は、後半が面白いです。

「10 ぽろぽろと」は、なにげなさが気持ちいいです。

「16 昼の月」のソツのなさは、好悪分かれるところですが、気持ちよく読ませていただきました。

ここから1作品ということで、すこし悩みましたが、「07 気分はもう戦争」に一票です。

「よくある俳句」からはみだそうとする、その意気に拍手。「烏賊」「屏風」「リプトン紅茶」の意表は、俳句的愉楽にまで至っています。また、モチーフで暴れながらも、「韻律」がしっかり築き上げられていることは、最大の美点のひとつと思います。こうした意表のつき方、韻律の確かさは、たぶんに技術的なものとも思います(いい意味の技術)。

って、ちょっと誉めすぎ?w



なお、重複になりますが、とりわけ「この句!」という句を全体から3句。

夕ぐれの明るさの瓜冷やしけり(01 屋 根)

水槽に蛸の吸盤春の月(10 ぽろぽろと)

胸骨のうらを涼しき牛のちち(17 多孔質)



応募者のみなさん全員に、一読者として感謝を申し上げます。
ありがとうございました。

匿名 さんのコメント...

17 多孔質

胸骨のうらを涼しき牛のちち

神の名は多すぎないか秋の蝉

いつせいに埴輪の歌いだす良夜


一句目の発想と、二句目の屈託、三句目は平板だけどそういう気分なんでしょう。
持て余してこその若さを、垂れ流した俳句。そういうところを評価します

匿名 さんのコメント...

「09 ハーモニカ」
中盤から後半へかけての句が、殊の外よかった。

残る鴨ボート置き場のごちやとして
爛春の物みな顔にみえし日よ
花冷えの石碑に空のかすかなる
カーテンの波うちぎはへ春の雪
春の灯のともり柱の短さよ

の句がよいと思いました。

wh さんのコメント...

集計上、ここまでとさせていただきます。

投票してくださった皆様、ありがとうございました。