編集後記というタネ明かし●俳句マガジンいつき組 編集長 キム・チャンヒ
週刊俳句「いつき組プロデュース号」をしないかという話が出たとき、正直「面倒だな」と思った。
毎月最低限の人員で、B5サイズ3段組48ページの雑誌を作っている身としては、インターネット上とは言え、もう一冊雑誌を作る余力はほとんどない。かといって、雑誌で使った古い記事を寄せ集めるだけでは、面白くない。
何かテーマがあり、それに沿った記事であれば、その記事が新しくても古くても違和感がないはず。俳句マガジンいつき組を表すのに相応しいテーマとは何か?
数日考えた挙げ句出てきたテーマが、「俳句はエンターテイメント」。
映画や音楽、絵画の例を出さずとも、そもそも優れた芸術というものには、エンターテイメント性が備わっている。だからこそ沢山の人の心をつかみ、時代を超えて支持される。
俳句だってそう。時代を超えて、多くの読者の心をつかむ作品こそが、優れた俳句であり、俳句をやっていようがなかろうが、沢山の読者を楽しませる雑誌こそが、真っ当な俳句雑誌だと信じて、今まで編集してきた。
週刊俳句「いつき組プロデュース号」で、そんないつき組の精神を垣間見ていただけたら幸いである。
以下、記事の補足。
・俳句はエンターテイメントだ! 俳句集団「いつき組」 夏井いつき
今回の企画に対する宣言書。
・『6時間耐久ラブワゴン』
現在(2009/5)編集中の俳句マガジンいつき組予告編。4月4日のライブ感を味わっていただけたら嬉しい。
・作品集
「仏陀の目」 夏井いつき
『6時間耐久ラブワゴン』にて作句した俳句をまとめた作品集。
「むくげむくげ」 十亀わら
「百年の恋」 渡部州麻子
「指間(しかん)」 加根兼光
全て新作の作品集。いつき組誌上では、読者に選ばれた方しか自分の俳句を発表できないのだが、今回は特別に俳句界賞受賞3名による作品を掲載。
俳句そのものがエンターテイメント作品である。
・「青春の鏡 ~住宅顕信小論~ 蜂谷一人
テレビ番組というエンターテイメント作品制作を通じて語る、住宅顕信。書き下ろし。
・季語って何だ!? いつき組的新季語選定委員会 総集編
新しい言葉が生まれる以上、新しい季語が生まれるのは当たり前。季語ではない季節の言葉を、季語として扱うことで、季語の機能に迫る。
・ほろ酔いブックレビュー大お花見大会
この世には、俳句の本しか読まない、俳句の本すら読まない俳人が結構いるらしい。そんな方々にほんの魅力を伝える?世にも下らない対談。そもそも飲む必要はない? 書き下ろし。
・いつき組俳句部 俳句における一物仕立ての定義(3回シリーズ)
「一物仕立て」の俳句と「取り合わせ」の俳句の違いを、知ったかぶりしない部員たちの研究発表。
・「句集は俳句のエンターテイメント作品」
【句集書評】
天然の人―『涅槃図』句集評― 神野紗希
『猫の句も借りたい』を読む 山口優夢
エンターテイメント作品として句集を味わった、書評。書き下ろし。
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後記の後記●上田信治
と、いちおう出ては来たものの、特につけくわえることはないのですが。
いつき組のみなさま、お忙しい中、ほんとうに、ありがとうございました。
ではまた、次の日曜日にお会いしましょう(コレが言いたかった)。
no.107/2009-5-10 profile
■夏井いつき なつい・いつき
俳人・俳句集団いつき組組長。
■谷さやん たに・さやん
1958年愛媛県生まれ。「藍生」「船団」「いつき組」所属。句集『逢ひに行く』で、第一回宗左近俳句大賞受賞。坪内稔典との共編『不器男百句』。
■金子 敦 かねこ・あつし
1959年神奈川県生まれ。1985年作句開始。1987年「門」入会。1989年門新人賞受賞・同人となる。1996年第一句集『猫』上梓。1997年 俳壇賞及び門同人賞受賞。2002年「門」を退会し「新樹」に入会。2003年「新樹」同人となる。2004年第二句集『砂糖壺』(本阿弥書店)上梓。 2008年第三句集『冬夕焼』上梓。2009年「新樹」を退会し「出航」に入会。俳人協会会員。
■十亀わら そがめ・わら
1979年愛媛県松山市生まれ。「詩学」新人。第7回俳句界賞。詩集『燃える野』(詩学社)
■渡部州麻子 わたなべ・すまこ
1960年生まれ。第8回俳句界賞。「いつき組」「小熊座」所属。句集『黒猫座』(マルコボ.コム)
■加根兼光 かね・けんこう
1949年大阪生まれ。第9回俳句界賞。
■蜂谷一人 はちや・はつと
1954年生まれ。岡山市出身。TVプロデューサー。句画集「プラネタリウムの夜」(マルコボ.コム)。
■津田美音
いつき組俳句部部長。
■藤実
マイマイ妻。
■キム・チャンヒ
グラフィックデザイナー。「俳句マガジンいつき組」編集長。
■上田信治 うえだ・しんじ
1961年生れ。「ハイクマシーン」「里」「豆の木」で俳句活動。ブログ「胃のかたち」
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2009-05-10
後記+プロフィール107
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いつかどこかを by民也
扇航機飛行機雲をくぐる初夏
扇航機垂らすロープのもう一人
ここまでは来ぬ鯉のぼり扇航機
扇航機BB弾の届かざる
ごく稀に扇航機墜つ青嵐
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