主宰代表近詠集(2009.8)
誌名をクリックすると、各誌サイト近詠に移動します。
栗田やすし「伊吹嶺」
三村純也「山茶花」
小川軽舟「鷹」
神蔵器「風土」
山尾玉藻「火星」
●
海流はゼロ初夏の壇の浦 栗田やすし(「伊吹嶺」2009.8)
「ゼロ」という外来語が一見ミスマッチだが、現代の視点から壇の浦の戦いに思いを馳せている感じもして、面白い。
地蔵盆この子どこの子髪赤く 三村純也(「山茶花」2009.8)
どこの子とも知れない赤髪の子がまぎれこんでいる。なんでもない景色のように装っているから、読み手としてはこの景色があの世につながっているのではないか、などとかんぐってしまいたくなる。
列のまま遠泳潮に流さるる 小川軽舟(「鷹」2009.8)
困った事態になっているはずなのに、それを岸から淡々と見つめて客観的に描写してみせている。むしろそこに、彼の海に対する畏れのようなものが伝わってくる。
雲の峰ラーメン屋より僧出で来 山尾玉藻(「火星」2009.8)
「雲の峰」も「ラーメン屋」も「僧」もてんでつながらないモノ同士。これらが一同に会すると、なんだかとても暑そうな句になった。
(山口優夢)
●
2009-08-30
主宰代表近詠集 2009.8
登録:
コメントの投稿 (Atom)
0 comments:
コメントを投稿